6-62【さいきょーしゅぞく4】



◇さいきょーしゅぞく4◇


 俺はリアを連れて、昨日振りの女神の家へ。

 リアは俺の肩の上……肩車だな。

 九歳にしては、やっぱり幼い気がする。俺の妹、コハクが大人っぽいのかもしれないけどさ。


「あははははっ!たかーい!」


 まぁ俺もまた身長伸びてるし……じゃなくてさ。


「リア。そろそろ着くから降りようか……な?」


「いやー」


 嫌じゃなくて……ああもう、やりづらい。


『ご主人様……子供、幼児が苦手なのですね』


 そう、かもな。

 別に嫌いな訳じゃない。可愛いとは思うよ。

 でも、得意じゃないのは確かだ。


「はい着いた。しゅーりょー」


 俺はわざとらしく大きな声を出して、肩からリアを降ろす。

 「やだー」と駄々をこねるが、それを無視して俺は手を取り進む。

 大声で叫んだし、アイズにも聞こえただろ。


「……入るぞー」


「はいるぞー」


 いちいち真似せんでもいいよ、リア。


 鍵すらかかっていない室内に入ると、部屋はまだ綺麗だった。

 流石に昨日の今日で汚くされたら、誰も掃除せんだろ……あ。

 そういう事かよ。だから誰も掃除しなくなってたんじゃないのか?

 あのレイン姉さんですら投げ出すレベルなんだと、再認識したぞ。


「あ?なによミオ、まだなにか……って」


 アイズはだるそうにソファーで横になっていた。

 またなまけてたのかと、昨日の話を聞くまではそう思ってたはずだ。


「……具合、悪いのか?」


 アイズは起き上がり、何も無かったかのように振る舞う。


「……別に。それよりなによ、その子。まさかアンタの子?」


 なにそれ女神ジョークですかね?


「ふざけんな。よっと……ほら、リアもおいで」


 俺はアイズに一言そう言うとソファーに座り、隣をポンポンと叩く。

 リアは「う、うん」と少し緊張気味だ。アイズが圧を出すからだぞ、少しは大人の対応しろよ。


「……で?」


「で?って……分かってるだろ。この子は……昨日話した、【竜人ドラグニア】の子だよ。保護したって」


 アイズの視線はリアだ。

 それもドギツイ睨みとでもいえそうなほどの。


 だけど。理由も分かる。

 連れてくんなって、言いたいんだろ。


「……はぁ。これで二人目……しかも【竜人ドラグニア】。この世界の最強種族……あたしの次の女神の候補、嫌がらせにもほどがあるわ」


 やれやれと、アイズは両手を上に挙げて肩をすくめる。


「それはすまんと思ってる。だけど、俺があんたに協力する為には……知らなきゃいけない事だってある。そうだろ?」


 嫌そうな顔をしたまま、アイズは続ける。


「それはまぁそうね。ミオが言いたい事も分かるわよ」


 でも今?そう言いたいんだろうけど、俺にも急ぐ理由はある。


「俺も直ぐ帰んねぇといけないし、この子だって故郷に帰してやりたい。その為にはアンタの知識が必要だ」


「――ウィズダムに聞きなさいよ」


「……」


 この女神、やっぱり俺の能力も把握はあくしてやがる。


「どうなの?あん?」


 なんなのその態度。怖いんだけど。

 マジで嫌がってる……でも、俺も引けんのだっ!

 ガチで引けない、俺と女神の――駆け引きだ。

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