6-14【思い、思われ……】



◇思い、思われ……◇


 ミーティアが外に行って数分……か。

 長く感じるな、あの男と……何を話してるんだろうか。


『単に説明だと思いますが』


 それは分からないだろ。

 ミーティアとあの人の関係は、いったい何なんだろう……何故なぜ、地下から馬車の中、ここに来るまでの時間……ああまでの空気感にしてしまったんだろう。


『ご主人様がオーラを隠さないからです。地下でのオーラはひどかったですよ……ウィズが何度忠告しても、無視しやがって』


「――な!」


 【叡智えいち】さんが暴言を吐いた。

 それに……忠告だって?そんな言葉、俺には聞こえなかったぞ。


『ミーティア・クロスヴァーデンと……あの青年の関係性を心の底で考えていました。そのせいかと……俗に言う――嫉妬しっとですね』


「……」


 し、嫉妬しっと……?

 誰が?誰に?


『ご主人様が、アレックスと言う青年に……です』


 俺が、アイツに嫉妬しっと……?

 あの優男に、嫉妬しっとしているって?


 理解出来ない。


『したくないだけでしょう。カッコつけなんですよ、ご主人様は』


「……」


 隠そうともしないウィズの言葉に、ドキリと、心臓が鳴った。


 ああ……それは、そうかも知れないな。


 ミーティアが俺を好きでいてくれている事に、胡坐あぐらをかいていたのかもしれない。

 自分の方が立場が上だとか、転生者だから精神的には上なんだとか……そう言った自惚うぬぼれと、前世からの経験値の少なさ……それを理由に。


 俺には出来ないとか、格好悪い事はしたくないとか……気付かない内に、馬鹿な行動をしてた。


「……格好悪かっこわりぃ」


 俺は椅子にもたれて、天井てんじょうを見上げる。

 今日のここまでの自分を思い出して、顔から火が出そうだ。


「ちょっと待った……これ、もしかして俺がかなりダサい状況だよな?」


『もしかしなくても、ダサいです』


 だよな。

 ミーティアが何も言ってくれないからって、彼女に当たるような態度を取って、気に食わないとは言え初対面の人に生意気に接して――クソ格好悪い。


「反省しろ……俺」


 このままじゃ駄目だ……こういった時は、全てを失う。

 言葉にしなければ分からない事もある、だから話をしよう。ミーティアと。

 彼女が俺を思ってくれている、俺も……そうありたいと思っている。


 だから、待つんじゃなくて……


『ミーティア・クロスヴァーデンが来ます。反応は一つです』


 ミーティアだけ、か。


「ミオ、お待たせっ……ごめんね、待ったでしょう?」


 汗をかいて、ミーティアが待合室に戻って来た。

 アレックスはいない。


「いや、待ってないよ。色々考えてた」


「え……な、なにを?」


 それを、これから話そう。

 俺が思う事を、ミーティアが思う事を。

 会話にして、言葉にして……ぶつけ合おう。


 未来さきに進むためにさ。

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