5-109【黒き獅子と半端な子7】
◇黒き獅子と半端な子7◇
俺たちの準備は万全だ……先行したはずのあの馬鹿が居ないと言う
つまり、この広間のさらに奥……そこが、【アルキレシィ】の根城という訳だ。
この【ハバン洞穴】を駆けて来て、洞窟内の広さは異常な物だった。
【アルキレシィ】が
黒い獅子……亜獣【アルキレシィ】、討伐戦だ。
◇
「……は?」
俺の
俺たちは順に……俺、クラウ姉さん、ミーティア、イリア、ロッド先輩、グレンのオッサンと並んで奥へと侵入した。
それはもう慎重に、警戒に警戒を重ねての行動だ……なのに、なぜそんな馬鹿らしい声が出せるのか……答えはこうだ。
「い、いない……?」
ミーティアの
「だけど、
そう……気配がするんだ。
邪悪なほどの魔力の波動と……縄張りに入られた怒りを、そのままぶつけてくるような圧力が。
「――下よっ!!」
「下!?」
クラウ姉さんの言葉に、俺は身構える。
俺とクラウ姉さんが戦力の
ミーティアには状況を見ながら援護を頼んでいるが、転生者である俺とクラウ姉さんを除いて……正直に言えば戦力としては考えていない。
ただ……俺にとっては、確かにそこにある
「影だっ!!来るぞっ!散開しろっ!」
下って影かよっ!
「――ミーティア」
「え」
俺はシュン――と、一瞬でミーティアの隣に出現し、腰を引き寄せてジャンプする。
クラウ姉さんは【
「影が動いてる……まさか、あの中か!?」
その影は異様に幅広く、俺たち六人が集まった状態よりも大きかった。
悠々と移動し、停止した先は……クラウ姉さんの真下。
「姉さん――行くよっ!!」
「分かってるわっ!!」
影から、大きな何かが飛び出す。
分かるさ……これが【アルキレシィ】だってんだろ。
「――【
飛び出す何かに、クラウ姉さんは光線を放つ。
下方からの飛び出しと、上方からの魔力の波動。
しかし、
「……このっ!!私の魔力を
クラウ姉さんは翼を広げて、その何かの飛び出しを避ける。
「これが……【アルキレシィ】だとっ!?」
小さく呟いたのはオッサンだ。
事前の情報で、四年前よりも大きいと言うのは観察報告書からも伝わっていたが、グレンのオッサンも
「……マジかよ、ライオン??」
ミーティアを抱える俺は、冷静に彼女を降ろし言う。
クラウ姉さんが翼を羽ばたかせて着地すると、【アルキレシィ】も少し離れた場所に降り立った。
「あれが……」
クラウ姉さんの光線によって、その影が
その姿は正しく黒き獅子……大きさは、神話のドラゴンも
大きな二本の角からは魔力の
その
「……クラウ姉さん」
「平気よ。私たちで……あのライオンを弱らせる、いいわねミオ」
ミーティアには離れるように
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