4-14【時間は進む】
◇時間は進む◇
寒空の下、ぽつんと建つ小さな小屋の中で、俺は目を覚ました。
アイシアとクラウ姉さんが来たのが
俺は一人、小屋を出る。
この
俺がこの【ステラダ】への道の整備を始めて、早くも一ヶ月が
「あとどれくらいだ?……はぁ~疲れる」
この一ヶ月の間、家にも
この作業に取り掛かった初日、アイシアが来てくれたあの日も、送っていく為に三人で帰ったさ。
そして、この一ヶ月で進んだ街道整備の
頑張ったんだよ、たった一人でさ。
「……【ステラダ】までもうちょっとだ。頑張れ、俺」
所々に中継点として休憩所を建てて、休み休み作業をした。
中身はまだ空っぽ、前のミーティアの家みたいな感じだよ。
そこをやるのは、まぁ他の人でもいいからな。
道を整備するだけなら、多分十日ほどで終われたんだよ。
運よく、【ステラダ】からの旅人もそんなに多くはいなかったしな。
え?それが普通だっただろって?
うん。そうなんだけどさ……
そんな事が言いたいのではなくさ、他の作業だよ。
道の整備事態は、たいした労力じゃなかった。
それ以外に取られたんだ。いや……俺が取ったんだよ。
村の人たちとの、交流を……さ。
アイシアを始め、ガルスや学校の少な~い友人。
レイン姉さんの友人ミラージュさん。雑貨屋のディンさん。
俺が基本的に
そんな人たちとの交流を、俺は優先させたんだ。
だけど、サボってた訳じゃないぞ?
「……み、見えた……【ステラダ】!」
道だけじゃない。村の設備だって整えていたんだよ。
残りの一ヶ月で、残すはこの街道整備と……【ステラダ】での交渉だ。
そうさ、俺は今……【ステラダ】目前の場所にいるんだ。
80
だから残りは、一気にやってしまわないといけないと思ったんだ。
だけど、この道が整備されたとして……税はどうなるんだという事がある。
【豊穣の村アイズレーン】は、【サディオーラス帝国】と【リードンセルク王国】の国境付近にあるんだ。
詰まる所、この道は丁度国境なんだよ。
通行手形とか、税関がある訳じゃない世界だけど……国から言われた時にどうするか、それが問題だ。
帝国内の他の街からも、最近は村に来る人が増えている。
帝国の首都は【カリオンデルサ】と言うのだが、無論、俺を
しかも、場所は正反対の西なのだ。
遠すぎるんだよ!首都ならせめて中央に作れよ!と、声を大きくしたい。
さっきも言ったが、【ステラダ】との交渉と言うのは、【クロスヴァーデン商会】との交渉だ。
もし帝国のお偉いさんが来て、何かを言って来た場合の為に、【豊穣の村アイズレーン】には……税を出す必要があるのだ。
さてと、寂しく独り言を言い、この一ヶ月の事を語りながら、俺は数
「久しぶりだなぁ……【ステラダ】」
「――ミオーーーーっ!!」
到着早々、俺に声を掛ける女性。
青い髪を風に
ミーティア・クロスヴァーデン……実に三ヶ月ぶりの再会だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます