3-43【扱いにくい女】



あつかいにくい女◇


 おどしに屈した俺は仕方がなく……本当に仕方がなく、このポンコツ女神を受け入れることにした。

 つーか、それしか選択肢が無かった。


「でもどうするんだ?お前人間の身体なんだろ?これから色々と大変だぞ?生活できんの?」


 そもそも、こいつの目的も分かんねぇしな。

 イエシアスが来たらどうするつもりなんだろうか、この女神ポンコツ


「それは大丈夫よ。あたし、神界から道具を山ほど持って来たからっ!」


「へぇ……」


 お、それは凄い興味きょうみがあるな。

 んで?その道具はどこだよ、俺にはどこにもそんな物は見えないけど?


「――えっと……あれ?」


 ほうほう、探してんねぇ。

 あ~これはあれですね、ポンコツ出しましたね?


「――スゥゥゥゥゥゥゥゥ」


 はい、大声出しますから。

 俺は耳をふさいだ。


「――落としたぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁああ!!どうしようっっ!!」


「知らねぇよ。お前がポンコツしたんだろ?」


 落とした――って、もしかして空から降って来たからか?


「飛んでくる時だぁぁぁ」


 頭をかかえるアイズ。

 泥が飛ぶからやめろください。


「その道具ってどのくらいなんだ?」


「――五億円くらい……」


「値段じゃねえよ!量だっつの」


 いや、五億もすげぇけどさ。


「――ボストンバック一つ分よ……」


 こいつ、普通に地球の物を持って来てやがる。

 そういやこいつの服……ふわふわワンピースにコルセット、その上にレザージャケット着込んで……もうこの世界の物じゃねぇよデザインが!


「お前さぁ……その格好――」


「あ!気付いた?ふっふーん……どう?似合うでしょ」


 そうじゃないんだって。世界観考えろよ。

 そんなカラフルな色どりの服、この村にある訳ねぇじゃん。


「お前自分の設定どーすんだ?まさか女神だっては言わないよな?……人間になってるんだろ?なら、俺以外にも見えてんだよな?」


「え……」


 なにそのダメなの?って顔。

 ダメに決まってんだろ、馬鹿にされるだけだぞ?

 しかもここの村の名は、アイズレーンなんだからな。


「せめて名前はアイズでいいとしても……旅人、かなぁ?」


 どうすればいい?こいつのあつかい。

 クラウ姉さんだって、多分気付くと思うんだよなぁ。

 少し聞いてみるか。


「――なぁ。クラウ姉さん……俺の姉を転生させたの、お前だよな?」


「誰?……この村に転生させたのは二人だけど、名前までは知らないわよ?」


 あ~うん、その時点で答えだわ。

 クラウ姉さん以外に転生者がいるとは思えねぇし、確定だ。


「そのもう一人の転生者、俺の姉なんだよ」


「へぇ。凄い偶然ぐうぜんね……アンタより後に・・死んだのに」


「……は?」


 俺よりも、後?クラウ姉さんが?俺よりも先じゃなくて?

 俺よりも三年も早く産まれてるんだぞ?

 それっていったい……どういう事なんだ……?

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