3-20【目標に向かって3】



◇目標に向かって3◇


 私はミオの部屋の椅子に座って、着替えをするミーティアを見る。

 くっ……スタイルいいわね、腹立たしい。


「そう言えば、クラウ昨日いなかったね……どうしていたの?挨拶あいさつしたかったのに」


 ミーティアは着替えながら、私に言う。

 見せつけるようにしちゃって……く、悔しくないし。

 私は、そんなミーティアの白くて綺麗な背中を見ながら答えた。


「……朝帰りよ。子分をしごいていたわ」


 ミオの幼馴染、ガルスの事ね。

 あの子、四年前に助けてあげてから、やけになつかれたのよね。

 でも、根気とやる気は凄いと思う。

 戦いの才能は……残念だけど。


「ク、クラウが言うと……なんだか少し性的ね」


 なんでよ。そんなつもりないけど。

 彼氏もいないのに。まぁ、作るつもりもないけどさ。

 前世でも?うっさいわね!!斬るわよ!?


「い、今のミーティアの方が、全っ然性的だと思うけれど……?」


 半裸だしね。

 それにしても……本当に綺麗な身体だ……チッ。

 無駄のない筋肉、大きな胸……チッ。

 スラッとした四肢ししに、引き締まったウエスト……チッ。


 本当に同じ年の女の子なのだろうか……私は、二年前から完全に成長が止まってしまったと言うのに。


「え?そうかな……?ミオ、興奮こうふんしてくれるかな?」


 それはするだろうけど……させないわよ?


「はぁ?……バカを言ってないで、サッサと着替えなさいよ。何かする事があるんでしょ?ミオとジルは……北口?だったかな、そっちに行ったわよ?」


「あ~。うん……まぁ、一緒に来てる・・・・・・からね」


「……はい?」


 いったい誰が?ん?……と、いう事は……昨日一日、外で待機させたという事?

 な、なんて罰ゲーム。意外とひどいことするのね……予想外だわ。


「――わ、私じゃないよ?ジルリーネがね……あいつにはそのくらいが丁度ちょうどいいって言うから……私は一緒の方が、って言ったんだけど……」


 あれ、私……顔に出てたかしら。





 ミーティアが着替え終えて、二人でリビングへ。

 するといきなり。


「――おはようございます、お義母さま。お義父さま」


 おいこらちょっと待ちなさいミーティア。

 ナチュラルに二人を親呼びしたわね?


「――ええ、おはようミーティア」


「ああ、おはようミーティア。眠れたかい?」


「はい、おかげさまで!」


 え?パパもママも……対応力すご。

 気にしないの?と言うか、受け入れてる?


「……お手伝いしますね。お義母さま」


「あら、助かるわ……ありがとう、ミーティア」


「はいっ」


 ママ……まるで娘が出来たみたいに喜んで――って娘三人もいるでしょ!?

 私たちが不満なの!?


 きっと私は、“義理の娘”と言う感覚を理解できていなかったのだろう。

 後ろから来たレイン姉さんが、私の肩に手を置いて言ってくれる。


「――クラウ。そう言うものなのよ、母親って。息子の……お嫁さんになるかもしれない人だもの……嬉しいのよ」


「……そういうもの?」


 分からない訳じゃないと……思ってたけど。

 理解できていないのね、私。


「そういうものよ。ミオのそばにいる事が……ミーティアさんの目標なのでしょ?なら、積極的になるものでしょ……それでなくても、アイちゃんにリードされてるんだし、ねぇ?」


 目標……そうね。

 それが目標だって言うなら……姉の壁わたしたちを超えるくらいの女でないと、ミオは渡せないわよ。


 だけど、目標を持つ者同士なら、応援も出来る。

 ……頑張りましょうね、ミーティア。

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