3-19【目標に向かって2】



◇目標に向かって2◇


 家に戻ってすぐ、ミオとジルは資材を運ぶ為に村の北口に向かったわ。

 私は行かない。めんどいし。

 家に入り、パパとママが何かを話しているけど、格別気になる事は無かった。


 疲れた私が姉妹の三人部屋に入ると、レイン姉さんがコハクに抱きついて寝ていた。もう直ぐ起きる時間だけど……意外とお寝坊なのよね、この人。


「レイン姉さん。起きて……」


 苦しそうなコハクからレイン姉さんを引きがして、自分が捕まらない様に姉さんを揺する。


「うぅう……ん……」


 ブン――!

 おっと……つかまれそうだった。


「本当、眠れていない時の寝起き……悪いね……」


「おぁよ……クラウ……」


 寝ぼけまなこで、ゴシゴシするレイン姉さん。

 か、可愛い……年齢的には、ちょっと痛いかもしれないけど。

 それでも凄い破壊力……ミオがタイプって言うのもうなずけるわね。


「はいはい、おはよう」


 コハクはまだ寝てるけど……あ~、学校は休みだし、まぁいいか。

 この子は、レイン姉さんに輪をかけて寝起きが悪いんだ。

 私も、何度蹴られたことか。


「……ふあぁ~……あれ、クラウじゃない……おはよう」


 大きな欠伸あくびをして、姉さんが完全に起きた。


「そーですよ~。クラウですけど~……?」


 レイン姉さんは、未だに一人では眠れない人だ。

 なんだか最近、特に嫌な事があったらしくて……理由は教えてくれないんだけど、多分あれ・・だ。

 ミーティアと一緒に助けた奴隷どれいの男……名前忘れたけど、アイツ。

 【ステラダ】の街に帰ってから、定期的に贈り物を送って来るらしい。

 多分、それが理由ね。


「ほらレイン姉さん。コハク、苦しそうだったよ?」


「あ~……ごめんねぇ……コハク~……」


 コハクをナデナデするレイン姉さん。

 コハクももう、そんな子供じゃないよ?

 そう。私も……ミオもね。


「……ふにゅ~」


 あはは……やっぱり、まだ眠そうだ。

 あの男から……毎週のように贈り物が届くのよね。

 花とか、ぬいぐるみとかが……山ほどね。

 それが重荷おもにと言うか、断っても何度も届くから……しんどいんだと思う。


「――さ、今日も気合を入れて頑張りましょうっ……それでクラウ、聞いた?」


 ミーティアとジルの事……でしょうね。


「うん。聞いたわよ」


「そう。それじゃあ……起こしてきてくれる?」


 ジルはもう起きているから、ミーティアを……ってこと?

 めんどくさい……ここは断って。


「い――むぐっ!」


 ガッ――と、レイン姉さんの手が私の口をふさぐ。


「いやはダーメ。ね、お願い致します」


 笑顔の圧で、私を黙らせる。

 流石さすがに長女……妹弟は、お姉ちゃんには勝てない。


 はぁ……仕方ないね。


「分かったわ……行ってくる」





 ミオの部屋。まだ一度しか入ったこと無い。

 だって入ろうとすると、怒るんだもの……もしかして、何かエッチなものでも隠しているのかしら?

 でも、まさかミーティアを泊めるなんてね……ミオは眠れなかったみたいだけど、ミーティアはどうかしら。


「――ミーティア、入るわよ?」


 カチャリ――と、ドアノブを回す。

 ゆっくりと開けると……ミーティアがいた――半裸で。


「――きゃっ!!……ってクラウか、ビックリするじゃないのぉ」


「……入るって言ったわ」


 あきれた。

 もしミオだったらどうするつもりだったのかしら?


「起きていたの?」


「……ううん、今さっき起きた所よ。ぐっすり眠れたわ」


 残念だったわねミオ。

 ミーティアは快眠かいみんだったみたいよ?

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