3-12【月下のミーティア2】



月下げっかのミーティア2◇


 丁度ちょうど雲が流れて、ミーティアの顔が月に照らされた。

 俺を見つめるミーティアの顔は、とても……とても赤かった。

 ほほが上気し、今にも全身が赤くなってしまうのではないかと思うくらい、ミーティアは赤面していたんだ。


 そして俺は、気付かなかったんだ。

 ミーティアが何にそこまで赤面したのか、分からなかったんだ。


 鈍感どんかん

 仕方ないだろ……女の子を赤面させる方法なんて、知らんよ。


「ミ、ミーティア?ど、どうかした?」


「……」


 ポーッと、俺を見つめる青いひとみ

 どことなくうるんでもいるか?


「ミーティア」


「ハッ……あ、うん、なに?」


 ハッ……って。

 どうしたんだよ?そんなフワフワしちゃって。


「いや……川の話を、してたじゃないか」


「あ、そうだね……!凄いよミオ、この川を……一人で?」


 そうでした!みたいな反応だね……いいけどさ。


「うん、まぁそうだね。ほぼ一人だよ」


「……」

「……」


 え?終わり?


 沈黙だなぁ……どうしよっか。

 話したいって言ったのはミーティアだし、待つべきなのか?


 それとも、気を利かせて何か言うべきなのだろうか。

 う~ん。こういう時だよな、陽キャのしゃべりのスキルがうらやましいと思うのは。


「……」

「……」


 あ!!そ、そうだよ……俺もミーティアも、こんな所で立ったままだった。

 馬鹿だな俺はっ。


「――ミーティア、こっちに来て」


「……え?」


 瞬間的に、紳士にならねばと考えた俺は……ミーティアの手を引いて、近くに設置されたベンチ(俺の自作)に連れて行く。

 手でパッパッと汚れをはらい、ミーティアを座らせる。


「どうぞっ」


「あ……ありがと……」


 照れながらも、ミーティアが座る。

 よし、いいぞ。少しは挽回ばんかい出来ただろう。


「……」

「……」


 くっ……しかし続かない!

 こんな事、この二年で一度もなかったぞ?どうしてくれる!


 そして、俺の心中をさとったのかと思わせる様に、ミーティアが。


「……はぁ~~~」


 ド――ドデカいため息ぃぃぃぃ!

 あーやばい、俺なんかやったか?

 このセリフ、俺TUEEEをした時に言いたかった!!


 そう言えば俺って戦ってる時、基本的に怪我けがしてるか、能力がバレないように細工さいくをしてるかのどっちかじゃないか?


 なんで今そんな事思ってんだよって?

 ……ああそうだよ!逃避だよ!悪いか!

 ミーティアにガッカリされたかもって、不安なの!


 だから……意を決して聞くしかない。


「ミ、ミーティア?どうしたの?……その、僕……なにかしたかな?」


「……した」


「――!」


 ガーーーーーーン!!

 即答だった。下を向いて、俺を見ない様に言うミーティア。

 ああ、やっちまった……最悪だよ、畜生ちくしょうぉぉぉぉ!!

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