2-70【クラウの相手】
◇クラウの相手◇
カン――!カカン――!
今、俺は家の外にいる。
時間は午後で、今日は学校も休んでいる。
まぁ、言ってしまえば……ほぼ仮病だよな、だって元気だもん。
カン――!カーン――!!カコッ――!
身体は問題なく動くし、魔力も大分戻ってるらしい。
普段の生活程度の運動にはなんの問題はないのだが、ジルリーネさんにダメと言われてしまい、こうして見学しているんだ。
え?何の見学かって?
聞こえるだろ?木の鳴る音が。
俺の視線の先には、軽装で立ち会う……二人の女性がいる。
「――それでは
「乗せてるっ!!」
一人は小柄な少女……剣の一撃が軽いと言われている。
俺の次姉……クラウ・スクルーズだ。
「なら軽いんだな、もっと食って体重を付けろっ!肉を食え!!」
クラウ姉さんに色々と言っているのは、現在スクルーズ家の客人である……ジルリーネ・ランドグリーズさん。
【リードンセルク王国】からのお客様だったミーティアさんの知り合いで、俺を【ステラダ】と言う街に連れていく為、うちで寝泊まりしている。
「私はベジタリアンなのっ!!」
「――おお!わたしもだ!!非常食の干し肉くらいしか食べないぞ!」
クラウ姉さんは肉を食いません。
野菜生活のお手本と言うべき人ですね……だから身体も貧弱なんだよ。
……と、思ってたんだけど。
どうやらジルリーネさんもベジタリアンだったらしい。
「なら、なんでそんなに大きいのよぉぉぉぉぉぉっ!!」
そうだね、
おお~、鎧も着てないから、ジルリーネさんブルンブルンいってるな。
揺れとる揺れとる……何が?言わせるな。
クラウ姉さんの叫びで
「――お、いいぞクラウ!その調子だっ」
「うるさいっ!余裕ぶって……後悔させるからっ!!」
騎士であるジルリーネさんも、今は軽装で……と言うか上はタンクトップ一枚だ。
ピッチリタイプであり、形が丸分かり……と、あかんあかん。見てたわ完全に。
女性はそれらの視線に非常に敏感だと聞くし、なるべく見ない様に……おお……ブルンブルンじゃ。
「――こらぁぁぁぁ!ミオぉぉ!!」
「――げっ!!」
ああああああっ!!
クラウ姉さんの方が気づいてたぁぁぁぁ!!
し、知ってるんだからな!レギン母さんも大きい、レイン姉さんも大きい。
自分は中々に育っていない事を、内心では気にしてるんだろ!
別にいいだろ!そこまで貧乳では無いぞ多分!ただ、
今後はコハクだって分からないだろ!?
「後で覚えてなさいよぉ……ミオっ!」
だから、口には出してないんだって!なんで心を読んでくんの!?怖えよ女の勘!
◇
はい惨敗。
クラウ姉さんはへとへとで、地面に大の字だった。
それにしてもすげえ汗だ……本気で訓練してたんだな、クラウ姉さん。
「お疲れだ、クラウ」
「うるさいっ……うぅ……」
「な、泣くほど悔しいのか……」
そうなんだよ。この人、意外と泣き虫なんだよな……いや、負けず嫌いなのか……?
あ~そう言えば、ポンコツ女神が転生の時に言ってたよな?
転生させるのは、
クラウ姉さん……前世では何歳だったんだろうな?
いや、うん。それは考えないでおこう、クラウ姉さんはクラウ姉さんなんだから。
「さて……夕食までどうするか。クラウの相手はわたしとしても有意義だが、
「――私は平気!!やるわっ!」
「こらこら、わたしがきついんだよ……まったく」
二百十歳ですもんね……――おっと、視線が怖い。
「ミオはどうするんだ?」
え、俺?
俺、実はもう決めてたんだよな。
「僕は……これから幼馴染の所に行こうと思います」
そう。話をしようと思うんだ。
幼馴染……
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