2-15【俺と彼女の出会い3】



◇俺と彼女の出会い3◇


 訳が分かんないよ、まったくさ……いきなり過ぎだろ、頭打ったんだが。

 いったいどんな子だよ……突然抱きついて来て、押し倒すだぁ?


 そんな事を考えつつも、俺は倒れながら抱きついて来た女の子を受け止め――切れなかったから倒れたんだな……すまん、カッコ悪いな。

 いや、しかもそれで頭打ってんじゃん。

 くそぅ……もっときたえておくんだった。


 それにしても……や、柔らけぇぇぇぇぇ!

 女性特有のふにっとした触感、甘い香り。

 俺よりも背が高いよな……どうなってんだ?この体勢。


「い、いたた……」


「……」


 奴隷どれいの子……だよな?

 まさかクラウ姉さんってオチはやめてくれよ?

 あ……クラウ姉さんには柔らかいものなかったな。


「だ、大丈夫……ですか?あの……」


 女の子は、俺の胸に顔をうずめていた。

 ああ……そうだよな、怖かったんだ。きっと。

 泣きたくなるくらいひどい目に遭わされたのだろうか……それとも、大事な人が戦いに巻き込まれたとか……か?


「え……えっと、あの?」


 やべぇ、どうすればいいのかがまるで分からん。

 “泣いてる女の子” “声の掛け方” で検索したいんだが、助けて〇oogle。


「……がと……ま、す」


 お?なんか言った?でも、小さくて聞こえないな。

 顔を上げて、そのお顔を見せて欲しいものだね。

 そこの位置だとさ、俺の乳首なんだよ……くすぐったいから。


「……」


 えっと……頭をでてみるか?

 俺は恐る恐る、その子の青い髪に触れた。

 暗がりの夜空でも青いのが分かる、綺麗な髪だ。


 そんな青髪を、ゆっくり……ゆっくりと、髪を流していくように。


「……」


 そして、突然その子が顔を上げた。

 お、おお……めっちゃ顔赤い!真っ赤じゃん!!

 もしかして、照れてただけか!?


「そ、その……あの……」


 ああ、こっちも話せてないよ。

 俺も同じ気持ちだけど、君のその様子で冷静になったよあんがとな。


「――と、とりあえず立ちまりょ……」


 噛んだぁぁぁぁぁ!!

 なにやっっってんだよ、俺ぇぇぇぇ!!


「あはは……顔赤いですね」


「ははは……す、すみません」


 言われてんぞ……悲しいなぁ。


「それじゃあ、お互いさまですね。可愛い魔法使いさん♪」


「……は、はあ」


 あれ……なんだろう、この感じ。

 俺はその子を立たせながら、観察した。

 その青い髪と青い瞳……スラリとした四肢ししに強烈な胸囲。わぉ。

 俺より少し背の高い……年上なのだろうその少女に、釘付けになっていたんだ。


 う、うわぁ……よく見たら、奴隷どれいの服って布一枚みたいなもんじゃん!

 見え……み、見え……たぁぁぁぁぁぁ!!

 神様ありがとう、この世界に転生して、初めて家族以外のお乳をおがめました!


「……」


 ササッ――


「あ……す、す、すす、すみません……!」


 やっちまったぁぁぁぁぁ!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!俺の馬鹿!!

 何やってんだよ俺は、これじゃあ、まるで思春期のガキじゃないか……


 ん?ああ……そうだった。

 俺、ミオ・スクルーズ十二歳……絶賛、思春期真っ只中だったわ……

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