1-28【子供が隣で寝てますけどぉぉぉぉ!!】



◇子供が隣で寝てますけどぉぉぉぉ!!◇


 腹いっぱいになってさ、俺は眠気におそわれたよ。

 クラウお姉ちゃんの分の肉まで平らげて、口を油でべっとべとにしながら、椅子に座ったまま寝ちまいそうだった。

 子供の身体はよく出来てるよ、ホントにさ。


「あらあら……食べたら寝ちゃったわ……もう、可愛いんだから」


「そうだな。いいよなぁ、男の子はさ……」


 ん?これって……夫婦の会話、か?

 誰かに抱かれた感覚があるけど、ママンかな?この柔らかさは。

 三人で寝るのか?――って事は、今日はクラウお姉ちゃんと一緒じゃないって事か。

 うむ、それはそれで安心じゃないか。今日の所は、な。


 ああ、頭でられてる……心地いいな。

 子供たちの三人部屋では、姉妹仲良く寝ているのだろうか……クラウお姉ちゃんはねてそうだけど。

 レインお姉ちゃんは明日も学校だろうし、スヤスヤ寝てるかな?


 そんなさ……家族の明日の事とかを考え始めて、ウトウトしてる俺の耳に。


「――やんっ……ちょっと……もう」


 ――!!なん……だ、と……?


「ふふ……な、今日くらいいいだろ?」


「え~。でも、ミオがいるわよ?」


「大丈夫、寝てるよ」


 起きてんよっ!!今バッチリ目が覚めましたけど!!

 とか言いつつ、俺は必死に狸寝入たぬきねいりだ。バレてはいかん!

 いや、逆ではないか?起きて邪魔じゃましてしまえば、最悪な状況に遭遇そうぐうしなくていいのでは?


 でも、くそ!まぶたが重い!意識はハッキリしてやがんのに、目が開けらんねぇ!見たい――いや違う違う!!

 いくら異世界に転生したって言ったって、親の情事が隣でおっぱじめられたらたまったもんじゃないだろ!!


「え~、でも……そんなつもりなかったのにな~」


 だぁぁぁぁ!うそつけ!ママン、俺全部知ってるから!!

 狙ってたんだろ!?今日を狙ってたんだよなぁ!?

 あれだろ?できやすい日なんだろ!?そうだから昨日手に入った肉を、わざわざ今日食べさせたんだろぉぉぉ!?


「――ミオにも、弟か妹が必要じゃないか?」


「う~ん……でも、起きたらどうしよう……」


 ママン、もしかしてわざと俺を連れて来たのか?

 子供が隣で眠ってるって言うスリルが欲しかったの!?

 うわもう、絶対その気じゃん!!


 布擦ぬのすれ音!!脱がしてんじゃねーよオヤジ!!


「はは……もうすごいじゃないか」


 何が!?何がどう凄いの!?魔法使いだから分っかんねぇよ!!


 ああああああああ!!水音聞こえるぅぅぅぅぅぅぅ!!

 もうやだ!!帰る!!お家帰る!!


「――あんっ♪」


 クッソ……クッソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

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