1-22【背中さすさすやめて!!】



◇背中さすさすやめて!!◇


 結論から言おう。今回……俺のくちびるは無事だった。

 あの後、クラウお姉ちゃんは優しく「ミオ、しーしーでしょ?」と、俺を川まで連れて行ってくれたよ。

 うん……優しいお姉ちゃんだったよ。ごめんね疑って。


 そして現在……川付近にもうけられたかわやに、俺とクラウお姉ちゃんは二人きりだ。

 せせらぎとは言えない流れの【コレッタ川】をながめながら、俺は下半身丸出しで仁王立ちしている。

 両手で息子を持たされ、肩越しから感じるクラウお姉ちゃんの視線のせいで、出るものも出ないのだよ……


「ミオ、しーしー、しーしー……」


 優しさはつたわるよ。でもさクラウお姉ちゃん。

 見るのはやめないか?あとさ……その、尻と背中の間をさするのやめて、ゾワゾワするんですけど。


「でないの?」


「う、うん……」


「どうする?」


 どうしよう。でもしたいんだよ。れそうなのは本当なんだ。

 見られてると、大人は出来ないんだよ。

 一部の奴は好んでするらしいが……俺は無理だったんだ。


 中学の頃、ちょっとした手術で入院した際、俺はベッドから動けなかった……

 そして用意されたのが、尿瓶しびんさ……出来なかったよ。

 俺は膀胱炎ぼうこうえんになった。そして尿道にょうどうカテーテル、おしっこ管を挿入されたんだ。

 ああ……思い出すと、股間がゾワゾワする。


「……ぅ」


 ち、ちょっとクラウお姉ちゃん……指でお尻をくすぐるのやめて。

 桃のようなつるんとした可愛らしいお尻、触りたくなるのも無理はない。

 でも、その目で触るのはよろしくないって。君、本当に六歳か?


 何というか、嗜虐的しぎゃくてき?いじめっ子のようなサディスティックな視線で、俺の桃尻をナデナデしてくんの――あっ、やばい……出るっ……出ちゃう……出っ!!


「――ぁ……」


「はい、しーしー、しーしー……おしっこしーしー……」


 皆。川の綺麗な音を想像してくれよな。

 決して、じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ――とか駄目だめだぞ?

 あと、川に直接してるわけじゃないからな……勘違かんちがいすんなよ?





 手をつないで、俺とクラウお姉ちゃんは家まで歩いている。

 俺は泣き顔だった。クラウお姉ちゃんは心配そうに、俺の様子を見ながら手を引いてくれている。


 何故なぜ泣いているかって?


 暴発の結果だよ。言い方悪い?仕方ないんだ、本当の事だから。

 だって、クラウお姉ちゃんまで汚してしまったんだもん……


 いきなりの放出に、俺の息子がビックリしてしまってさ……

 なんていうのが正しいんだろうな……指でつまんだホース?そんな感じでさ。

 分かるだろ?止まらないんだ……止まれなかったんだよ!!

 それで、息子の暴走を止めようと、クラウお姉ちゃんが……くっ!……駄目だめだ、もうやめよう……地獄だ。

 もう、今日は最悪の誕生日だっ……!!

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