1-16【ミオ・スクルーズは美少年になります】



◇ミオ・スクルーズは美少年になります◇


 俺が決めたミオ・スクルーズ、自分のキャラ付けはいくつかあるんだが、まずは頭の良い子だな。

 早くに言葉を覚えて、知らない言葉を次々と話していく。これは異世界にはよくあるのではないだろうか。

 日本の言葉で話していたら、何それ?何て言ったの?みたいな事はあるあるなはずだ。


 そう言えば、この世界の言語げんごって何なんだ?

 産まれた瞬間に意味も分かるし、俺には日本語に聞こえてたんだよな……言葉が言えるようになってからも、俺は日本語を話しているつもりで会話してるんだ。

 まぁ、それなりに気を遣って、いい子の皮は被ってるんだけどさ。


 初めて言葉をはっした時のあの両親の顔と言ったら、もう笑けてくるね。

 そろそろいけるかな?とか思ってても「ばぶ~」だし、何度か試しても無駄だったんだが、気ぃ抜いた瞬間に「はらへった」……って言ったんだぜ?


 そりゃあおどろくだろ、普通……ママとかパパじゃん?

 都合のいい事に、そんな流暢りゅうちょうしゃべっても、父親ルドルフの口癖が「腹減った」だったおかげで、「あなたに似たのね?」で済んだけどさ。

 なんにせよ、俺は頭の良い子になるって決めたんだ。

 親の言う事も聞くし、お姉ちゃんの言う事だって聞くさ。

 そしてその次……少し未来の話だが、俺は美少年になろうと思う。


 ――んだよ。文句あんの?いいだろ別に!前世では冴えない木の怪物トレントみたいな風貌ふうぼうだったんだからな。

 髪はぼさぼさ、やせこけた身体に無精髭ぶしょうひげだ。

 れた大木って言われた事もあるからな。悲しい過去さ。


 だから、俺はこの世界で美少年になるって決めたんだ!!……自分で決められるかって?ふっ……お生憎あいにくさまだ。

 ラッキーな事に、両親は美男美女……二人の姉も超絶美少女だぜ?

 そんな子供がブ男なわけないじゃん。


 え?母親が不倫してたら……?おいこらっ!やめてくれよ、それでなくてもその事で一悶着ひともんちゃくあったんだから!

 結果的には何もなかったからいいものの、数ヶ月はギスってたんだぞ。


 と、とにかくだ。歩けるようになった時、俺も水面みなもで確認しましたとも。

 鏡のない貧相ひんそうな村だから、自分を見る方法なんてたかが知れてるからな。

 雨が降った次の日に確認したよ。うん……いい顔だった。れしたね。

 髪の毛もサラサラの金髪……目は外人様のような綺麗なグリーンだ。いやまぁ実際外国人なんだろうけど。


 そして、そのお顔はめちゃめちゃキュートだったぞ。

 思った通り、美少年になれるって確信したね。

 例え悲しい事故が起きようとも、遺伝子バフでどうとでもなってくれ、頼むぞ遺伝子!!

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