第33話 暴かれた裏の恋

 それから、色んなことを紗彩と語り合った。まずは、デートのこと。デートの

日程合わせ、入念な計画づくり、そして、将来のことをたくさん話した。もう、直樹

という、恋のライバルの存在を完全に忘れていた。ずっとずっと、紗彩と笑ってた。

そのあとは、新聞部に付き合った。紗彩と僕が付き合っているということを新聞部員が知ると、「キャァ~」、「おめでとう!」、「お幸せに!」、「ラブラブ!」

などと祝福の言葉をたくさん掲げてもらった。嬉しかった。これが、新米カップル

ってもんなんだな。でも、こんなことに喜ぶ人がいれば、喜ばない人もいる。


 新聞部の付き合いが終わると、一度、坂本幸樹に会いに行った。目的は2つ。

1つは、幸樹も大西結衣という、2年の2組の女と恋に落ちて、結ばれたから。

それで、幸樹も恋愛をマスターしてるっぽいので、いろいろ語り合いたい。そして

もう1つは、和希と一緒にやってた相撲部を作ることについての話し合い。幸樹の

ほかに、直樹、真一、益男、そして、楢崎雅紀、村上大智というこの学園の生徒。

まあ、このタイミングで相撲部出来ちゃったら、実際の恋愛バトルが起こる可能性

がある。まあ、これは武道の上での勝負だからまだいいけど。そんなこと思いながら

幸樹との待ち合わせの場所へと急ぐ。冬の冷たい風が僕の頬をかすめていく。

トン 僕の方に何かがのる。

「ああ、幸樹。どうした・・・ってえぇ?!」

そこにいたのは、もちろん会いたくないあの人だった。

「おい、風馬ぁぁぁぁぁぁ!!」

「は、はいぃぃぃぃぃいぃぃぃ!!!!!」

「お前、僕を裏切りやがって・・・!許さん・・・!」

「・・・・・・・!!!!!!」

今まで見たことのない親友の怒り爆発の顔。恐怖で声が出ない。もう原因は

分かり切ってる。家で話したときは気づいてなかったはずだから、今と家の間、

つまり、僕らのデート話を直樹が見ていたんだ。何で気づかなかったんだろう。

「僕が紗彩ちゃんに恋してるから手伝ってって言ったよな~!!」

「うん・・・」

「それなのに、何と本人に恋をしたとはな・・・!」

「ええっと、結構前から付き合ってたけどね」

ちょっとは落ち着いた。こうなってしまっては、徹底抗戦しかない。

「んなことはどうでもいい!!今すぐ別れろぉ!!」

「嫌ですぅ~。直樹も見たと思うけどデートとか言ってるぐらいだからもうおそ」

「だから別れろぉぉぉぉ!!親友を裏切るんだな!!あの時デートしようとか

セッ〇スの話とかしてたのは目に見えたんだぜぇ?!もういい、それなら、僕がお前

から紗彩ちゃんを奪ってやるからな!!」

「別にどう思ってもいいけど。ま、無理だろうけど」

こうして、直樹と僕は紗彩という恋人をめぐって、決別した。

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