第34話 幸樹と

 はぁ~、結局戦うことになったけど、詳しいことはなんも考えてない。ひとまず、

直樹のせいで、ちょっと遅れたから、急いでまずは、幸樹に会いに行こう。

相撲部の話は、今はどうでもいい。この相談をしたい。

「おい、遅いぞ、風馬」

「あ、幸樹」

「『あ、幸樹』じゃないだろ。結構遅かったぞ。ったくもぉ。ま、いっか。

ひとまず、始めてこっか」

「あのさ、相撲部の話はあとにしときたい。一回相談したいんだ」

「何の?相撲の話じゃないんだな?」

「ああ。あのさ、恋愛話なんだよね」

「そう。結衣とのことがあるから、たくさん話せるぜ。どんとこい!」

「まず、ここに来るのが遅れたのは、直樹のせいなんだよね」

「なんで」

「僕が直樹より先に、南紗彩っていう、クラスの女子と恋に落ちたんだよね。でも、

それで、そのあとから、直樹も紗彩を好きになっちゃってさ。親友が恋のライバル

なんだから、複雑な気持ちで。何とかバレないようにうまくやろうと思って

頑張ってたんだけど、それがバレて。ここに来るのが遅かったのは、直樹の追撃で

口げんかしてたから。で、どうすればいいと思う?」

「そっかぁ。バレる前なら、どうにか裏で、自分より、直樹の方がいいとして、直樹

を好きになるように誘導したらよかったんだけど、でももうバレたとなると、それは

難しい話だ。そうなったら、戦うしかないんじゃない?」

やっぱりそうか。結局直樹とやり合わなきゃいけないんだな。

「風馬は、かなりのお人好しだろ?でも、人思いもほどほどにしとかなきゃいけ

ない。問題が大きくなると周りの女子も巻き込まれたりするかもしれないだろ。

そうなるなら、直樹1人と、他の人何人かのどちらに気を使うとなれば、たくさんの

人のために、1人を犠牲にする方がまだいいだろ。だから、直樹をやるしかないん

じゃないかな。それなら、相撲で直樹をボコボコにすれば、結構ストレス発散に

なるんじゃないか?部員はだいたい集まったから風馬も入ればいい。正式に

できなくっても、教室でボコせばいいんじゃね?」

うわまじか。嘘だろ。でも、確かに1人のために大勢を犠牲にするよりはマシだ。

心を入れ替えよう。2,3回深呼吸をして、風馬は直樹と対決することにした。

「んじゃ、頑張れよ!僕は、風馬側の人間だ。何かあったら相談しろよ。何か

あれば、上手投げで土俵に背中をつけてやるからさ」

心強い。失うものがあればそれと引き換えに、手に入るものもある。良かった。

これで、直樹と戦える。それで、そのあとは、相撲部の話をしていた。僕は、

出来たら入ることにした。相撲教室入門は、ちょっと遠いし、見送ることにした。

直樹をやる準備はできた。僕が勝つ。そして、紗彩をとる。そのために―—―

直樹を倒す!!

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