第31話 ドキドキ対談
大輔が言ってきた提案。それは、「紗彩をフッて直樹に向かわす」と、
「直樹をボコして紗彩を勝ち取る」の2つ。大輔め。こんなこと言って。でも、
確かにそれ以外に方法があるのかと言われれば、あまりない。少なくとも、自分
では考えることができない。どうしよう。紗彩はせっかくここまで好きになって
くれている。だから僕にはできない。だからといって、直樹を「ボコす」ということ
もできない。親友をやって、恋人を勝ち取る。まあ、
普通の方法でも(普通の方法ってなんだ?)直樹を負かして、紗彩をとることも、
できない。だからといって、紗彩をこのまま捨てることができるのか。恋とは、
フラれたりすることくらい、当然かもしれない。1回紗彩もフラれている。だから
もう1回フる、紗彩からすると2回フラれた。そのうちもっといい相手に出会い、
結ばれるかも。でも、お人好しの僕には、ダメだ。それならどうする。どちらかを
選ばなければならない。ああ、ああ、ああ、僕はどうすればいいのでしょう?誰か
教えて・・・お願い・・・。
僕はしばらく悩みながら自宅へ戻っていった。そして、気が重くて何もしたくなく
なった。バンジージャンプをするように、ベッドへ飛び込んだ。すると・・・。
ピーンポーン インターホンの音。後ろに妖怪がいるような寒気が襲う。
なんだこれは。もしかして・・・。
「おーい、風馬。いる?」
やっぱり。直樹だ。一番会いたくなかった人。どうしよどうしよどうしよどうしよ。
「あのさ、ちょっと聞きたくってさ」
「な、何を・・・?」
「紗彩ちゃんのこと。いいアイデア思いついた?待ちきれなくて来たんだよ」
ひとまず、ホッとした。でも、油断してはいけない。
「ええっとね、僕一回紗彩・・・紗彩ちゃんとさっき話しといたんだよね。
それで、聞いたのが直樹は陽気でうるさくて、運動も勉強もできそう
って印象らしい。あと、男前であるがイケメンではないって」
「なるほど・・・ってことは、イメチェンしたらいいんだよね!!あとは、うるさい
奴って思われないようにすれば完璧だな!」
「ああ。そういうこと。てなわけで、早速やってみなよ」
「分かった!!帰って早速やってみる!」
心臓はまだなっている。ちょっとくらい心臓には休んでもらいたいくらい。
「あ、でも、よく紗彩ちゃんと話せたな」
「うん、紗彩とは同じクラスだからたまにしゃべるし。それに、体育祭
では、リレーで僕から紗彩にバトンを渡したから、仲も悪くないと思う。
あと、たまに一緒に行き帰りすることが・・・」
はっ、言い過ぎた。しかも、めっちゃ『紗彩』って言ったし。
「・・・・・・・・・・・・・・」
直樹は黙り込んでいる。どうしよどうしよ。ちょっとまずいんじゃないか?
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