第27話 意外なライバル

 会議、いや、海賊軍出撃会議は、終わり、僕は直樹、大輔と歩いていた。今が

聞くことができるチャンスだ。

「ねえねえ、直樹が好きな人って誰なの?」

僕よりも前に、大輔の質問。まあ、いいタイミングで聞いてくれたもんだ。

「ええ?それは・・・言わない!!」

「そう言わずにさ~ねぇ~」

大輔が直樹をコチョコチョ。昔、僕と和希もやってたな。和希は、今も少年院。

もうすぐ出られると言っていたが、果たしていつになるのだろう。和希は、麻薬の

せいでああなった。でも麻薬離れしてくれれば、また昔のような親友になれるかな?

「おい、風馬!聞いてたか?!」

「え?何を」

「直樹の好きな人だよ!!」

「あ、そうだった。で、誰?」

「誰にも言わないと誓いますか?」

「はい!!誓いま~す!」

「それならいうよ。耳を近づけて」

そして、直樹の口元へ、自分の耳を近づける。本当の秘密話って感じ。

「僕の好きな人は・・・南紗彩ちゃんなの・・・」

「うえぇぇぇぇぇぇ?!」

「どうした?風馬。そんな顔と声して」

直樹が紗彩を好きになった?!それは、つまり僕の敵になったということだ。恋の

戦いが始まってしまうということ。

「だから風馬、お願い!!協力して!!お願いです!!」

「僕はOKだよ♬」

「・・・僕もいいよ・・・・・」

「どうしたんだよ、風馬。顔色も悪いし。どうかした?熱でもある?」

「いや、大丈夫。うん、問題なーし!」

「だったらいいけど」

「ちょっと今日疲れちゃったぁ~。今日はもう帰るね。帰ってから、何か対策を

練ろうと・・・」

あっ!対策を練ろうとって言っちゃった・・・・!!

「あ、ありがとう!恋の対策をとってくれるんだよな!」

「え、うん。ちゃんと練ってくるな!!」

僕が言ったのは、恋のライバル、直樹をどうにか叩く方法を探していたということ。

まあ、たまたま(たまたまではないかも?)直樹が自分にもし紗彩を愛する

ライバルがいたら(もうすぐ近くいるけど)それに対策を練るとか、そういう

風に、直樹は読み取ったのだろう。今はバレてないが、もしバレたら、僕と直樹は

戦わなければならなくなる。和希はまだしも、直樹とまで・・・。また友達が1人

減るかもしれない。いや、ここで大輔も動き、紗彩もここで動くかも。つまり、

3人との人間関係が瓦解するかもしれないわけだ。3人以上かもしれない。あの時は敵は和希だけだった。和希は生徒会だったから、前生徒会メンバーかな。でも、

今回の場合は、状況が違う。もし戦うことになっても、直樹との一騎打ちならまだ

いい。でも、大輔などが加わったら、僕はどうなる?ついてくれるとしたら、紗彩の

ライバル、優奈の弟、南斗などか。そうしてると・・・

「風馬君、何そんなに悩んでいるの?」

女の子の愛らしい声がした。

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