第22話 恋の感覚

 3人は、自転車をこぎながら、来た道をゆっくり帰ってゆく。

「和希の麻薬使用理由がこんなのだったんだってな・・・」

「そうだな・・・」

「やっぱ、友達って大切だね。一度失った友ってそう簡単には戻せないし」

「ああ。だ~か~ら、これからも仲良くしような!!」

「『うん!!』」

「あ、もうすぐ家だわ。そんじゃ~な。バイバ~イ」

「『バイバ~イ』」


 家に帰ると、予想通り、母親の嵐。ここは、後ほど詳しく紹介しよう。

ひとまず、1晩越して、次の日の朝。いつも通り登校していると・・・。

「おっはよ~ん!」

やってきたのは、優奈だった。

「昨日どこ行ってたの?なんか会議があったっぽいけど」

「ええっ?!そうなの?!うっわヤッバ~。教えてくれてサンキュー!」

「うん!良かったぁ。今日は一緒に登校しよう♬」

「え?ああ、いいよ」

こうして歩くと、優奈は、すごく温かかった。「一緒に登校しよう」と言ってくれた

時のウインクがすごくカワイイ。ちょっとした恋の感覚を覚えた。

「ね、てぇつなごっ!」

「うん・・・いいよぉぉ~」

気づかぬ間に、ほっぺが赤くなっていた。

「風馬、おはよ!」

「あ、直樹。おはよ~」

「直樹君、おはよ~ん」

せっかくのいい雰囲気にちょっとした邪魔が入った。なんでこうなる?まあ、親友

だからいいけど。

「今日、優奈ちゃんと一緒に歩いてるの?」

「え・・・う、うん・・・」

「そうよ!!私が誘ったんだぁ♬」

冷え込んできた日。気づけば、もう11月だった。さっきまで寒かったけど、今は

寒くない。温かい体と心のカイロが僕を照らし、温かくしてくれる。小さな手が

体全体の保温をしてくれている。でも、それ以上に、心が温かかった。10月は、

体育祭の準備に追われ、和希のこともあった。そのおかげで、先日の体育祭は、

僕にとって、大失敗だった。そんなところをこの満面のスマイルと、温かい手。

そして、心。一度でいいから触れてみたくなった。

「ふ、ふぅ~ん。ははは。もしかして、優奈ちゃん、風馬に恋してる?」

「えっ?いや、だれがそんなこと!!」

(顔が赤くなってる?ってことは、もしかして優奈ちゃん僕のことを・・・?)

「それじゃあ、なんで、一緒に歩こ、何て言ったの?」

「え?いや、それはね・・・たまたま会ったから!」

「バレバレの嘘~。ま、これ以上は言わないよ!」

直樹は、こっちを向いて、ウインクをしてくれた。僕と優奈の付き合いを喜んで

くれているのだろうか?いや、喜んでくれているに違いない。昨日、ずっと仲良く

すると、誓い合ったのだから。


 学園に着くと、優奈と一旦別れ、男友達と話に行く。すると、気になる人影を

見かけた。それは、もう1つの恋の相手。南紗彩。まだ惚れていた。

「あ!さぁ・・・」

「どうしたの?風馬。何かあった?」

「いや、何でもない」

紗彩もいる。でも、もう1人、優奈がいる。でも、今は両方に恋をしていた。両方が

好きだから。でも、これが大事になるとは、今は思ってもいない。

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