第20話 恐ろしい麻薬

 体育館を出て行って、3人は、少年院に向かう。もうすぐ出れそうで、薬との

関係も断ち切ることができそうになったそうだ。もうすぐ少年院も出ることが

できそうだ。前回の大会の時も、近くに引率がいて万一のことに備えていたらしい

ので、一応安心。でも、まだ油断はできない。なかなか麻薬は、断つことが

できない人も多いらしい。

「心配だね・・・」

「うん・・・」

「大丈夫だったらいいけど」

「てゆっか、まず聞かないと!!」

「ああ、そっか。そうだね。会えるかな?」

というわけで、少年院に問い合わせると、和希が直接話したくないらしいので

スタッフさんが聞いたことを電話で話してくれることになった。


 電話スタート。

「こんにちは。少年院の太田喜一と申します。今回は和希さんの麻薬の使用について

聞きたいのですよね?」

「はい。そうです。よろしくお願いします」

「分かりました。それでは始めましょう。事前に聞いていたことを話していくので」

一体どんなことを話されるのか。なぜか怖い。

「まず、和希さんは、みなさんと元々仲良かったんですよね?」

「はい、そうです。今は全然ですけど」

直樹、余計なこと言うなよ・・・。

「それで、風馬君と、直樹君が現中村夢島学園生徒会の仲間になったことに、麻薬

をスタートしたようです。那賀益男さんからだそうですね」

ふんふん、僕らが海賊軍団に入ったころからなんだ。

「それでですね。その頃から、風馬君、直樹君、大輔君との関係悪化。そして、自分

の学園での政策に批判が多くなって、悩みが多くなった。それで、まず、覚醒剤と

出会ったんです。眠気や疲労感が無くなる薬なので」

「ふんふん、そうなんですね」

「次に出会ったのは、大麻です。なぜ大麻を飲み始めたのかは、自分でもわからない

そうです。大麻は、気分が快活になり、陽気になってよくしゃべる作用があります。

その一方で、思考が分裂したり、感情が不安定になったり、暴力や挑発的な行為を

行ったり、幻覚も現れるそうなんですよ」

「だから、和希が暴力したり、挑発してきたり、平塚の幻覚を見たのもこのため

なんですか」

「ええ、そうです。その次に、LSDです。こちらも原因は分かりません。この麻薬は

強い幻覚、幻聴成分があるんですね。それが大麻と連なったようです」

太田さんの話は分かりやすく、ストレート。でも、それがこんな話になると

かえって恐ろしくもある。

「そして、最後にコカインだったんです。覚醒剤と似たような作用があるから

飲み始めたらしいです。神経を興奮させる作用があり、体が軽くなる感覚があり、

腕力、知力があるという錯覚が起こります。幻覚もあり、持続時間が短いので何回も

飲んでしまいます。呼吸困難になることもあり、ひどい時には、死亡することも」

どれも、恐ろしい麻薬ばかりだ。和希がそんなことをしていたのを自分は全然知らなかったという痛みが襲ってくる。

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