第19話 2回目の決闘

 3人で自転車をこいで、1時間以上。ついに、ここへ来た。

「ここが、和希のいる少年院だね・・・」

「ああ。ついに来た・・・」

「ちょっと先に行っといて。あとで行くから」

「なんで?」

「いや、ちょっとなんか建物を見ておきたくって」

「え?それはなぜ?」

「なんか、最近そういうのこだわるようになったんだよね」

「そうだっけ?ま、いっか。気をつけてな!」

「う、うん!」

風馬は、1人だけ、後から行くことになった。

もうすぐ、あの場所だ・・・。


 来たのは、とある公園。ここで、毎年相撲大会が行われるらしい。その大会が

今日なのだ。近くには、教室もあって、和希は、そこに通っている。益男と

直樹もだ。風馬は、通っていないが見たことはある。今、取組の最中だ。

「はっけよい、のこった!」

熱戦が繰り広げられている。そして、待機中の力士の中に、1人、見覚えがある顔が

あった。和希だ。裸の力士姿の和希は、今順番を待っているようだ。

(てゆっか、何で少年院にいるはずの和希がここにいるんだよ?)

そして・・・。

「はっけよい、のこった!」

和希と、和希と同じクラスの、坂本幸樹が、取組をする。

「のこったのこった!」

そして、幸樹を和希が押し出して、取組が終了。和希が着替えて出てきた。その

スキを見て――和希を押し倒した。

「なんで、少年院にいるはずの、お前がここにいるんだよ?!」

「だって、自由時間くれたからさ」

「なんで?」

「だっていいって言ったもん。それで、今年も参加しようと思っていた相撲大会に

参加したんだ。お前も習ったらどうだ?」

「は?そんなことは今どうでもいいだろ!早く少年院に戻れよ!」

「いや、もうすぐ出れそうだからだよ。引率しっかりいるぜ」

「おい、風馬。ちょっと来い!」


 2人は、相撲の練習場がある体育館にやってきた。

「ここで、2回目の一騎打ち?」

「ま、また?またなの・・・?」

「それは、今からやるから。うん、まただぜ」

その瞬間、ズボンをつかまれて、投げられた。まだ感覚が残っているのだろうか?

「オリャァァァァァァァ!!!!!!」

風馬も、こうなってしまっては、やるしかない。和希を殴る殴る殴る。

しばらくやり合って、戦いは終わった。と、思った。

「テイヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

また投げられた。そして、ついに腹を蹴られた。

「おい!どうしたんだ?風馬!」

「直樹!!大輔!!」

「あ~あ、また邪魔なやつがやってきたよぉ~」

その瞬間、まず大輔を瞬殺した。次に直樹とは・・・。

「やっぱ直樹とは相撲で決着付けたいから今回はやめよ」

「は・・・?」

そして、直樹を置いて、風馬をねじ伏せた。

「そろそろ少年院に戻るよ。話はまた今度・・・」

和希は、それ以上何も言わず、体育館を去っていった。間もなく、相撲の練習のためまわしをつけたクラスメイト達が入ってきた。それと入れ替わるように、3人は

出ていった。

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