第17話 薬
放課後あった那賀益男と会い、信じられないことを告げられた僕。益男は、前、
和希に協力したものでありながらも、全く動揺していない。一方、僕は、
それでも昔大親友だったものがこんなことをしていたとは、信じがたかった。
和希は、「薬」をしていたというのだ―――!薬は薬でも、「麻薬」だった。
しかも、1つではなく、複数の麻薬を飲んでいたと。覚醒剤、コカイン、大麻、
LSDの4つだ。
「風馬、俺は元々知ってたんだけどね」
「なんだって?!」
「なぜかって・・・。元々僕が薬してて、それで、和希も始めたんだよ」
「この・・・。全てお前のせいだったっていうことか!!」
風馬は、頭に血が上りまくって、益男の胸ぐらをつかむ。
「いやいや、ちょっと待ってくれ。僕はすでに薬をやめている!」
「ほんとかよ?!それじゃあ、何で止めなかった!」
「いや、止めたよ。僕だって警察に指導されたからね。それで、しばらくは苦戦した
けど完全に麻薬とはバイバイした。それで、一度ニュースを見た。麻薬を飲んで、
交通事故で死んだ人だ。大通りの交差点というちゃんとしていれば事故など起こら
ないような場所で起こったわけ。それで、僕は麻薬の恐ろしさを知ったんだ。
だから、前まで薬を提供して、今もやっている和希にも『やっぱやめた方がいい』と
警告を出したわけだ。でも、あいつはもう中毒になってた。何度も止めた。それでも
まずかった・・・。もう僕には止められなかった・・・」
「それでそれで?・・・まさか?山に行ったのは――」
「そうだ。最近は薬のせいで、色んなことが起こるようになった。和希の怖い怖い
母ちゃんにも怒られるようになった。1度バレそうにもなったから、深川嶽に
家出した」
深川嶽とは、この町で一番高い山のこと。それだけに、登山客も多く、なおかつ
クマなどの猛獣出現や、遭難、そして、死亡事故も起こった険しい山だ。
「でも、まだふもとの方で、野宿したらしい。それで、いい時間になると、町に
降りて来て、それで、校庭なんかで大暴れしてたわけだ」
「なるほど。それでなんでマス(益男)は、知ってたんだ?」
「なんか、あの前生徒会の蜂起が起こる前、和希がコチラに来たんだ。
『親友なんだから、真相を教えてやる』って言ってね。僕はすぐに直感した。答えは
予想通り、薬を自由に飲むために、深川嶽に行ったって」
「そうだったのか・・・。でも、あいつは何で薬なんか飲むようになったんだ?」
和希は、勉強もしっかりできるし、頭もいい。そんな和希が普通飲むはずがない。
「それは、僕も聞いていない。今は、少年院にいるらしいから、聞いてみたら
どうだい?君だから、聞けることがあるかもしれないよ」
「分かった」
和希が、そんなことをしていたなんて。すぐに真相を見なければならない。これを聞き出せるのは僕だけのはずだ―――
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