第15話 和希の母

 「校庭に――?そんなはずは・・・」

「え、どゆこと?おばさん」

「校庭にいたよ。フライパン持ってた」

「前生徒会のグループで色々やってたよ」

「あの子、帰ってきたってこと?いや、でもあの子昨日家出したと思ったんだけど」

「え、家出?」

「そう、あの子ね。学校の放課後になっても、ずっと帰ってこなかった。それで、

ずっと心配してたのよね」

「ふんふん」

「始めは、何かの集まりでもしてるのかと思ったんだけど、そうでもなさそうで。

それであまりにも遅いから、学園に電話したのよ。そしたら、『和希さんは

いませんよ?もう帰ったんじゃないですか?』って言われたの」

もしかして、あの時、和希が学園の敷地外へ走り出したときに脱走したんじゃ?

「それで、色んなとこを探したわ。商店街や学校の周辺、塾、駅、ゲームセンター、

ショッピングモールとかね。それでも見つからなかったから、警察に報告した。

そしたら、市内の大きなニュースになって、大変だったの。でも、学校にいた

ですって?!すぐに叱ってやろうか?」

和希の母は、ものすごい勢いで学校へ向かっていった。3人は、それを目で見送り

ながら自分たちも学園へ戻っていった。


 風馬たちは、学園へ帰ってきた。すると――

「ああもう、和希!!なんでこんなとこにいるの~?!」

「ひぃっ。なんだなんだ?」

急いで、声が聞こえた方へ駆けあがる。すると・・・。

「和希まだいたのぉ?!」

「あら、あなたたちも来たのね」

周りには、真一と亮、松之助がいた。

「あなたたち、和希があまりにも悪いことをするから、生徒会の権限で捕まえと

いてくれたのね。ありがとう」

「は~い!!」

「まあ、こいつらの手柄です~!」

「まあ、そうだったのね。分からなかった。ごめん」

「それで、和希。あんた何してたの?」

「それは・・・・・」

「いいから来い!みんなごめんなさいね」

「は、は・・・ぁい・・・・・」

和希と、和希の母は、いったん生徒会室から出ていった。

「和希ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!早く白状しなさぁぁぁぁぁ

ぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!」

「うっわっ、和希の母ちゃんってこえーんだな」

松之助。そこに、南斗が入ってきた。

「お、和希って人、しっかり怒られてますね!反和希同盟の効果あったんじゃない

ですか?」

「う~ん、まあな・・・」

「それじゃあ、よかったんじゃないですか?」

「それが・・・」

「どうでしょうね~」

1年の亮も。そこに水を差すように、この人物がこの言葉と同時に現れた。

「そんなことないだろ~!!我らが海賊軍団にとっても、そして学園にとっても

邪魔な人物だった、山内和希が消えたんだぜ?俺らにとってプラスでしかない

だろ!!」

大悟である。そして、さらにさらに、

「なんですって~!!あの山の奥まで家出してた~?!んだとこのヤロ~!!」

「山奥へ家出?」

「さらに、風馬君たちをだまして、益男君まで利用したの?お前ったやつは~!!」

「うわっ、マジで怖え。山内の母ちゃん」

和希の母は、本当に怖かったんですけど・・・。それにしても、真相は何だったの

だろう?和希の家出——?

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