第11話 生徒会長選の結果は――?

 生徒副会長、神田梨花は、鬼のオーラを放つ理事長に苦笑い。

「ど、どどどどういうことですか?」

「ほれ、これを見なさい」

理事長が見せたのは、パソコン。そこには、生徒会長選挙の管理委員の、姿が写って

いた。票を区分し、どちらが多いかを、見ている。


「お、もうすぐ終わるね。今のところ滝澤さんが多いっぽいけど・・・」

「うん、そうだね。滝澤さんかな・・・?」

数分後。

「あ、終わった!滝澤さんは何票?」

「211票。武田さんは?」

「214票!ってことは、次期生徒会長は武田さんになったわけだね!」

これで、映像終了。


「あなたは、どうして嘘をついたのですか?」

「えっ、それは・・・」

梨花は、うつむいて黙り込む。チラッと隅にいた、和希を見る。

「えっとですね、それは、管理委員から、そう伝えらえたからなんです。それで、

梨花は、そんなことをしらず、こう公表したんです」

「本当か?管理委員に聞いてみよう」

今度は教頭が鋭いまなざしと、切れ味抜群の言葉で問い詰める。管理委員に

聞くと、ちゃんとそう書いてある紙を渡したという。

「あれれ~、おかしいですね。それじゃあ、どちらかが嘘をついているんですね?」

和希がニヤニヤとしながら、理事長と教頭を見る。

「いいや、これで、すでにどちらが噓つきか、はっきりと分かりました!」

理事長の迫力のある声。これに、和希の顔がゆがむ。

「これを見なさい」

教頭が見せたのは、公表するときの指示書。当選者には、滝澤潤と書いてある。

「よく見ると、消しゴムで消した跡があるのです!」

ほんとだ、近くで見てみると、消しゴムで消した跡があった。

「さらにです。こんな証拠もあります」

またまた、監視カメラ劇場。この学校では、いつの間にか、無数の監視カメラが、

僕らを見ていたんだ。でも、旧校舎には及ばないようだ。そして、映像開始。


「クッソ~!!なんでこうなるんだ!!しかも僅差で!!」

和希が悔しそうに顔をクシャクシャにする。

「それじゃあ、こうすればいいんじゃない?」

何かを思いついたのは、梨花。そして、消しゴムで、しっかりと武田宏太の文字を

消し始めた。そして、鉛筆で、書きかきかき。

「これでどう?」

「でも、これバレるよ。言い訳はどうするのですか?」

現生徒会長、平塚快(海賊軍団をおそらく一番恨んでいるであろう者)の口出し。

「それなら心配ないさ。管理委員がやったって言えばいいんじゃねーの?」

「ああ、いいんじゃない?それじゃあ、和希君言い訳担当ね~」

これで、映像終了。


「つまり、君は武田君に負けたことが悔しくてこんな嘘をついたのか?」

「いや、そういぃぃぃうわぁぁぁぁけでもぉぉぉないんですけどぉぉぉぉ」

「それならなんだ?」

「・・・・・くそっ」

和希は、下を向く。負けを認めたか。あいつめ。同盟者は喜ぶかな~。

「というわけで、次期中村夢島学園生徒会長は、武田宏太さんに決定で~す!」

意外と歓声が多い。ま、祝福されているんだからいいんだよね?

そして、海賊軍団中心の、生徒会メンバーが組まれた。海賊軍団による新しい

学校改革が日の目を見た――!

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