第6話 大輔と
風馬は、体育館に1人残されていた。なぜか1粒の涙が流れた。これでも、
和希は、昔の親しい親友なのだ。そんな和希をボコボコにしたわけだ。
自分が情けない。誰かに相談したいのに・・・。でも、できない。あまりにも
難しい問題すぎて、相談する気になれない。相談を相手を巻き込むかもしれないし。
体育館に1粒の涙を落としてから、何も言わず、体育館を出ていった。
「フゥ~」
思わずため息。優奈がまたやってくる。
「最近、風馬君、ため息多いよ?大丈夫?絶対何かある~」
「なあなあ、僕から相談するのはあれだから、優奈ちゃん、南斗君に言っといて
くんない?南斗君も海賊軍団だろ?ちょっとでもなんとかなればいいけど」
「うん、分かった。南斗に言っておくね」
すると、優奈は、すぐに南斗がいる2年教室の方へ降りて行った。南斗は、1年
下だが、海賊軍団歴では、2年上だ。少しでも、何とかなれば・・・。
そう思ったら、誰かが近づいてきた。ああ、ちょっとは何とかなるかも!
来たのは、3人目の親友、今だと和希よりは上かな?その相手は、3年1組の
中畑大輔だった。直樹とは、あまり交流がないが、和希とは仲がいい。風馬は、
仲直りの架け橋となるかもしれない――そう思ったのだろう。
「風馬、最近どうしたんだい?優奈ちゃんから話を聞いた紗彩ちゃんから聞いたん
だよ。最近、風馬君が何かに悩んでいるようだから、聞いてあげて、って僕に
言われたんだ」
おお、マジか。ヤッタ~!優奈がなぜ自分から言わなかったのかが気になるが、
紗彩ちゃんからのお願いを今大輔が!!てことは、紗彩ちゃんが僕のことも見てる
ってこと!もしかして、もしかしてだよ?まさか僕と紗彩ちゃん・・・。
「お~い、聞いてる?で、なんかあったの?」
あ、そっか。悩み悩み・・・。
「最近和希が・・・」
はっ!大輔は、和希と仲がいい。てゆっか、親戚らしい。僕よりも和希の方が
どちらかというと、仲がいいし、相談することなんかできないよ・・・。
しかも、たまたまあの生徒会との戦いの時などは、大輔は、休んでいて、
僕が海賊軍団に入っていることも知らない。相談したら、亀裂が生じるに違いない。
相談したいよぉ。でも、相談できない・・・。僕の心は一体どこへ向かうんだろう。
「和希とどうしたの?」
「ごめん、いや、特に何にもない。この前和希とカフェテリアに行って、そこで、
食べた料理がすごいおいしかったんだよね、ってことをその日学園に来てなかった、
大輔に話そうかな?って思ったってこと」
「ああ、そういうことだったんだ。何食べたの?」
「えっとね・・・そう、カツカレー!!」
「そうなんだ。おいしかった?」
「おいしかったよ!!」
「そう、僕も食べたいなぁ~」
「それじゃあ、また今度行く?あ、もうこんな時間!行かなきゃ!また今度ね」
そうやって、会話を強制終了させて、風馬は、どこかへ駆けて行った。
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