第5話 体育祭の準備と一騎打ち

 前回の戦いで僕は知った。これは単なるサボり目的で結成されたヤンキー軍団

ではない。学園を転覆させるための海賊軍団なんだ・・・。前に聞いたことが

ある。学校の授業は嫌だ。解放してほしい。そんなこともあり、学校を廃校に

追い込もうという取り組みも1度あったらしい。廃校出来たらすべてが終わる。

つまり、やるしかないのか。いや、やらずに終える方法はないのだろうか?

考えて考える。でも、今こんな決闘が起こったので、今は無理だ。もうやだ。


 体育祭で準備が忙しくなる秋が始まった。10月に入った。海賊軍団も気まずい

空気の中、それぞれの準備を進める。仲がいい仲間がいないのが寂しい。

中村夢島学園の体育祭は組別対抗戦で、僕は3組。直樹は5組。和希は、2組。

他のメンバーとは一緒になる学級もあれば、ならない学級もあった。3年3組の

海賊軍団メンバーは、僕だけ。とても重苦しい空気が舞い込んできて、いることがストレス。ちょっとだけいいことがあるとすれば、南紗彩という、同じクラスの

女の子が気になっている。それだけ。しかも、話しかけることはできない。あっちは

優等生。美少女。運動神経は抜群。それに対して、こっちは、優等生ではなく、

美男子でもない。運動神経は一応ある、。何よりも、こっちはヤンキーなんだ。

無理に決まってる。でも、出来れば話したいな・・・。そんなことも思いながら、

重い空気が続き、考え事で頭がいっぱいになり、自分の準備は一向に進まない。

「はぁ~」

思わずため息。すると・・・

「どうしたの?風馬君。悩み事でもある?疲れた?」

声をかけてくれたのは、紗彩と仲がいい、荻野優奈。南斗の姉だ。弟がヤンキーな

だけに、ヤンキー慣れしているようだ。むしろ親しんでいるかも。

「いや、何でもないよ。ちょっと疲れただけ。心配してくれてありがとう。

こっちは、ヤンキーのヤバいやつだもんね」

「いや、そんなこともないと思うけどな。ため息したってことは、やめたいとでも

思ってるんじゃないの?」

すごい。気づいているんだ。でも、静かな空気が続いて、会話は終わった。


「なあ、お前。紗彩ちゃんに恋してるんだろ?お前みたいなバカは、合わないと

思うけどな」

体育館で和希と会った。他のみんなは、いない。2人だけの空間。

「おい、何で海賊軍団なんか入ったんだよ?バカか?あ、バカか。疾風大乱が

楽しいのは分かるけど、ゲーム中毒になってるぞ。アホなやつ。まあ、海賊軍団でも

ゴミカスみたいな立場なんだろ?」

和希の口から出る、たくさんの言葉。僕が悪いのは分かってる。でも、さすがに

ここまで、「バカ、アホ、ゴミカス」まで言われると、さすがにムカつく。

「お前なぁ・・・。コノ~!!」

風馬は、和希に殴りかかった。あの決闘の続きのつもりで。和希もこれに応じた

のか、殴りかかる。激しい戦いだ。顔を殴って、腹を蹴って、もつれあった。

あまりにも、我慢できなかった。初めての一騎打ち。運動神経は風馬の方がいい。

素早い動きと、鍛えられた体で、激闘を制した。和希は、舌打ちを1回して出ていった。

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