第3話 風馬vs和希 戦いの始まり

 風馬は、あの残酷な光景から少し離れた。介司と源太郎、頼久が倒れた快を

裏庭の奥へ運んで行った。ああ、これはまずいぞ。逃げよう。僕は直樹に手で

逃げようと合図を送る。これに気づいた直樹は、OKと返す。いいところまで

待った。そして、半数のメンバーが3階に上がり、2階にいるのは、亮と真一

だけだ。よし、今だ――!すきを見て・・・脱出!!階段を2人で静かに

降りる。そして、出口が見えた!行ける!行けるぞ!そう思った時だった。

「うわっ!話してよぉ~!」

直樹の声。後ろを向くと、直樹は、大悟にえりをつかまれ、宙に浮いていた。

「お前、今何しようとした――?」

「いえ、特に何も。僕らは、ちょっと海賊の秘密基地を探索してただけです」

とっさの嘘で、直樹はごまかす。

「フン。絶対嘘だろう?だが、まあいい。その代わり、罰ゲームをしっかりと受けて

もらう。お前もな――」

宏太を全面的に支える副リーダー、松岡大悟に指をさされる。ああ、最悪だ・・・。

 罰ゲーム。それはとてもまずいものだった。僕の人生ここまでかな?次の授業、

2人は、大悟が見ている中で、に座っていた。教師はイライラ、

生徒はモヤモヤ、嫌な目で、ずっと僕と直樹を見ている。くそう、大悟め・・・。

もう泣きたいよぉ。いやだいやだ、もう学校から逃げ出したい。家に帰りたい。

授業が終わった。ピンポンパンポーン 校内放送の音。背筋が凍る。

『中原風馬さん、上橋直樹さん、校長室に来てください』

ピンポンパンポーン 2人は、肩を落として校長室へ向かう。そして、校長、

いや、全ての教師から説教を食らった。次やったら退学させられるんじゃあ・・・。


「なあ、風馬、お前なんで直樹と机座ってたんだよ?バカか?」

放課後、和希と話した。和希は、勉強が今でもできる風馬の親友。直樹との仲も

悪くない。

「いや、それは、海賊軍団の副リーダーの松岡大悟に命令されて・・・」

「なんで、お前が松岡と関わってるわけ?普通ならそんな命令ないだろ?」

「いいからほっとけよ。僕らは僕らで必死に頑張ってるんだよ?」

直樹が訴える。おお、直樹、いいところに!と思ったのだが、その真逆だった。

「それじゃあ、何を頑張ってるんだ?この写真を見てみろ。お前ら2人スマホ

持ってきただろ?誰かに命令された。スマホを持ってくる生徒=海賊軍団。

命令した相手=海賊軍団という式が成り立つ」

なんでわざわざ数学を交えて・・・。だが、そんなのんびりしたことをいう暇は

ないようだ。

「でも、海賊軍団の団員にならなければ、関わりを持たず、命令されることもない。

だが、君らは命令された。つまりだ。お前ら海賊軍団に入ったってことだろ?」

はぁ~。ばれたか・・・。なんでこんな時に頭脳を働かせるんだよ?推理は苦手

なのに。それはそうと、まずいぞこれ。一体どうする?

「お前らが海賊軍団なら、それは僕らの敵に当たる。どうか対処できるかな」。

和希は、生徒会のメンバーだ。そして、快がやられた。つまり、生徒会、いや、

中村夢島学園VS海賊軍団 いきなりの戦いが始まった―—―

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