第5話 東公先生 道を語る

東公先生いわく。

東公かつて道を行き道を帰ると。


ある人問いていわく。

いかなる道なりしかと。


東公先生答えていわく。

高き山ありまた深き河ありと。


その人いわく。

そはまことに辿り難き道なりと。


東公先生いわく。

道あり。山に洞門あり。河に大橋あり。ゆえに易かりきと。

東公先生続けていわく。

皆の歩むを易からんとせんとて道は造らる。ゆえに易し。人皆山の高き河の深きを聞きて行くを諦むるが、道を探さば辿ること叶うべしと。


またある人聞きていわく。

されど道を造る者なくば道またなし。いかんせんと。


東公先生答えていわく。

道あらばたどるの易しと感ぜし者は、道を欲す。この者また道を造らんとせん。皆まず道を行きて帰れ。されば道を造らんと欲し、新たな道成るべしと。

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