第4話 東公先生 利を語る

東公先生いわく。

かねて、東公、利を説くことあり。

利に自利あり他利あり。

また国利有り民利あり。

利を求めるに自利他利ともに図るは上。

また国利民利ともに図るも上。


それを聞きて、ある人聞く。

我かつて自利よりも他利を図るを上とす、民利よりも国利を図るを上とすと聞く。


東公これに答えていわく。

自利より他利図れば自疲る。

民利より国利図れば民疲る。

疲れたるもの再び他利、国利を図らんとするやと。


またある人聞く。

国、偉人、皆国利図るべしと言うがこれいかん。


東公これに答えていわく。

国、偉人、国利を図るべしと唱うるは自利を導かんとするゆえなり。

これ、我の説くところと異なる事なからん、と。



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