第27話 幕間 冒険者は確かに無双していた

試練達成によりステータスをカンストさせることで第二幕終了です。

幕間はボロボロにされているセイたちが本当は強いことを描けたらなと思います。


ライムの試練を行うまでの冒険者としての旅路は無双していたことがわかるちょっとしたお話。

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その一 ==冒険者協会でのあるある==






とある町の冒険者ギルドでの出来事。。。



カランカラン~♪


冒険者ギルドの扉を開けると人が来たことを知らせるベルが鳴る。


入ってきたのは二人の人物。一人は茶髪の可愛らしい子供。もう一人はその子供のメイドだろうか?給仕服を完璧に着こなした黒髪ロングの女性だ。


茶髪の子供、セイはリアナと共に受付へと向かう。昼間ということもあり、冒険者はほとんどで払っている為混雑しておらず、すぐに対応してもらうことができた。



「ようこそ冒険者ギルドへ 本日はどういったご用件でしょうか?」


「えっと、魔物素材の納品ともし達成できるクエストがあればそれをお願い」


セイはここまでの道中で討伐した魔物の納品部位をいくつか提出する。


「え? えっと、拝見させていただきます 少々お待ちください」


少し予想外だったらしく戸惑った様子のまま確認のために女性職員は奥へと移動した。


「んー? なんか戸惑う要素あったか?」


「ん、セイの見た目 かわいいから予想外」


「えー 冒険者登録して、もうだいぶ経つよ? 一応Cランクだし顔が知られててもいいと思うんだけど・・・」


「Cランク以上は少ないけど、それでもそこそこいる 全部覚えるのは難しい?」


「そういうものかなぁ?」


それからも何でもないことをリアナと会話していると受付の方が戻ってくる。


「お待たせしました サラマンダーの火炎袋、ワイバーンの比翼、この二点が依頼達成となります その他の素材に関しましては適正価格での売却となりますがよろしいでしょうか?」


「それでお願いします」


「ではこちらをお受け取りください」


領収書と照らし合わせ金額に間違いがないことを確認し受け取る。最後にライセンスカードを更新してもらい冒険者ギルドを後にした。




「・・・はぁ またか」


「ん、またつけられてる」


冒険者ギルドを出てから僕たちはつけられている。気配を消すのもうまくないようでバレバレの尾行だ。どの町でも冒険者ギルドで報酬を受け取るとどうしようもない人間が付け狙ってくる。


「なんでかなぁ~ そんなに僕って弱そうに見える?」


「んー、セイはかわいい とってもかわいい」


「はいはい、弱そうに見えるのね はぁ~」


リアナは答えにならないような答えを返してくる。完全に見た目のせいなんだよなぁ~。もっと厳つい感じのゴリゴリマッチョメンだったらこんな面倒なこと起きないのに・・・。


「ダメ 絶対ダメ セイはかわいいままが最高」


瞳孔開いた目をこっちに向けないで!怖いから!怖いから!!


「わかったわかった わかったから! 僕は変わらないから! 大丈夫だから!!」


それにさらっと心読まないで・・・。


「ん、よろしい 心は読むよ? 私はセイのモノで、セイは私のモノ」


「あー、うん そうだねー」


惚れてしまったのが悪い悪い。


「きゃー、私もセイが大好き!!」


あー、だめだ。なんで僕は好きになってしまったのだろう。好みドンピシャだったから完全にリアナの策略に嵌ったようなものなのにな~。まぁ、僕のどの感情を探してもリアナを拒絶する選択肢がないんだけどね?惚れたものはしょうがないのだよ。諦めよ?ね?


僕は暴走したリアナに抱き着かれたまま路地裏へと歩を進める。


しばらくすると前方に数人の人影。後ろからつけてきた存在も足早にこの場に集まっている。


「よう、坊主 ちょっとおじさんにその金wo・・・」


集合した不審者たちは血煙に消える。


「リアナや~ 話ぐらい聞いてあげようよ ね?」


「私とセイの邪魔をするなんて許されない」


「いや、全員が悪い奴って訳でも・・・」


「分身体が調べ終えてる どうしようもないクズだから問題なし」


「・・・さいですか はい」


血煙も空気へと溶けるように消え去り、不審者たちがいた証拠は何一つ残らない。




その後はリアナにされるがままに移動し何日か街の観光後、次の目的地に向けて行動する。











その二 ==セイはリアナを愛している==






実力主義の国、ヴ―ドリア統治領での出来事。。。



セイとリアナは屋台で売っていた串を摘まみながら街の中を歩いている。


「なんでかなぁ~ どこの道場も遊び人じゃ入れないとは・・・」


「ん、しかたない 普通の人は職業で相手を判断する」


「そうなると僕は初級職の悪名高い職業についているどうしようもない奴になってしまう・・・」


「ん、セイには私がいる」


「いや、そういう問題ではなくてな?」


道場に入れなくて泣き言を話しながら歩いていると対面から複数の女性を連れた、見るからに強そうな虎の獣人が歩いてくる。


すれ違いざまにぶつかりそうになったのでそれとなく避けて移動した。


「おい、止まれ」


「セイはかわいいから問題ない」


「いや、職業の話にかわいいとか関係あるか?」


「ある」


「・・・ごめん なんで断言できるのかわからない」


「そこの茶髪の坊主とメイド止まれや!!」


茶髪とメイドという声が聞こえたので顔を見合わせた後振り返り、少し考えたが歩みを進める。


「振り返っただろ!? お前らだよお前ら!!」


どうやらあっていたらしい


「リアナ、知り合い?」


「しらない セイは?」


「いや、知らない」


二人で見合ってちょっと考えたが呼び止められる理由がわからない。


「チッ 何回呼ばすんだ 止まれよザコが 俺様が話しかけてやったってのに・・・ぐちぐち」


「「・・・・・」」


いや、本当になんで呼び止めたんだ。


「まぁ、いいや おい、そこのメイドこっちにこい」


「? なんで?」


「いいからこい!! 俺が使ってやるって言ってるのがわかるだろうが!!」


は?


「坊主はいらねえ かわいい面してるが俺に男色趣味はないからとっととki・・・」


ガシッ


「ねぇ さっき言ったことは本気?」


「ギ、ガ、ギュぇ」


「セイ(⋈◍>◡<◍)。✧♡ そいつ話せない♪」


「え? あ、」


虎の獣人は四肢をぐちゃぐちゃに粉砕され、僕が顔面を鷲掴みにしてぶら下がっているだけだった。あまりの激痛に気を失っており、話すことができないもよう。


「あ、あー やりすぎた」


でも、後悔はしていない。


「そんなゴミ ほっといて行こ? ねぇ行こ♪」


あれれぇ? なんかスイッチ入ってる?


「う、うん 行こうか」


道の邪魔になるので隅の方に投げ飛ばすと、リアナがタイミングを合わせたように二本の串を投擲する。僕たちが食べ終えた串は虎の獣人の両肩を突き刺し壁に縫い留めた。


軽く、ヒールはかけておいたので命に別状はないだろう。たぶん、、、




後ろから悲鳴が聞こえる中、僕はリアナに腕を引っ張られその場を後にした。


リアナはどうもスイッチが入ってしまったようで、その、、、うん、割愛します。




闘技場では最有力候補の実力者が通行人に沈められたと噂になったとかならなかったとか。











その三 ==この世界に神は存在しない==






魔人種の大陸、ラルドネ大陸での出来事。。。



ラルドネで情報収集の折に、気になったことがありラルドネでも古い教会へと足を運んでいた。


「ここが一番古い教会でいいんだよな?」


「ん、私の調べではここ 400年生きるエルフの老人がいるはず」


外観は管理が行き届いているようでとてもきれい。所々塗装が剥がれている場所はあるが庭は綺麗に手入れがされており教会へと続く石畳の道も掃除が行き届いている。セントヴェンの教会の様に奇抜な事はなく、古く伝統的な教会だ。大きさもそこまで大きくなく目立ち過ぎない程度に抑えられている。


「んー、普通の教会だな ステンドグラスも昔ながらだね」


「ん、きれい 日の位置によって色合いが変わるようになってる」


今は時間的に夕方近く。西側のステンドグラスが色付き教会内を彩っている。


中央十字架の前に一人の老人が祈りを捧げている。その背中はどこか暗く感じるのはなぜだろうか?


「あのー、すいません」


他に人もいないので目的の人物は彼の老人であろうと話しかける。


「はい 何か御用でしょうか?」


ゆっくりと振り返った老人は耳がとがっておりエルフであることがわかる。


「お聞きしたいことがありまして、その神についてなのですが、、、」


僕が神について聞きたいと話したところ老人の表情が一変する。


顔色が青色を通り越して真っ白になり、全身をガタガタと震え始めた。


「か、神、ですか? この教会ではそのような者を祀っていません ええ、いませんとも 神など存在しません いませんとも いるわけがありませんとも 私は知りません 知りません 知らない 知らない 知らない・・・」


「え 大丈夫ですか?」


「・・・ええ 問題ありません 神などいないのですから 問題あるはずがございません 大丈夫です 私は知りませんから 大丈夫です 大丈夫 大丈夫なはずです はずなのです そうです そうです そうですよね? ですよね? 問題ないです 何もないです 何もないと言ってください!! ・・・」


それ以降もぶつぶつと自分の世界に入ってしまい話になりそうにない。


「えぇ~ これ何?」


「んー? 恐怖? トラウマ? 畏怖? そんな感じがする」


「神って聞いちゃダメなの? 僕も怖くなってきたんだけど・・・」


「やめとく? 少し奥の方でも調べる?」


「んー 老人から話を聞くのは無理そうだし調べるだけ調べようかな 老人は、、、ほっとこう 戻るだろ 知んけど・・・」


「ん、調べる」


老人の顔を見るに焦点が合わず心ここに在らずの様子なので放置する。教会の奥の資料の方を調べることにした。


調べた結果は何もわからないことが分かっただけだった。教義の書物なんかは不自然に文字が抜け落ちている場所があり、どの書物にも神の記述は存在しない。老人のぶつぶつと呟く内容を聞いても神の名前を憶えていないようだった。


何だろう。神に関する記述の部分だけ世界から消されているような食い千切られたような雑さを感じる。


「もう怖いわ 調べるのやめようか」


「ん、その方がいいかも あの様子はちょっとあぶない」


僕とリアナは資料を読み終えた後も正気の戻らない老人の様子を確認し深入りするのをやめることにした。仮に何か知っても自分のためになるとは思えないしわざわざ藪蛇をつつくものではないだろう。


「老人はどうしよう 下手に看病しない方がいいのかな?」


「ん、私たちが近くにいるからかもしれない」


「さっか、離れようか・・・ あ、祈りだした」


入って来た時と同じように祈り始めた老人の背中はより暗く、陰鬱な印象を僕は感じた。


僕たちは教会を後にし、気持ちを切り替えて宿屋へと向かった。





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・ギルドでのテンプレ

・セイの独占欲もなかなかのモノ

・神などいなかった、いいね?


の三本です。

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