第26話 サラマンダーですか?いいえ、イフリートです

イフリートとの戦いは・・・蹂躙から始まることになった。


何もさせてもらえない。イフリートが何をしたのか認識することすらできない。気づいたときには吹き飛ばされている。熱量は上がり続け止まることを知らない。弱点となる剝き出しの部位から炭化が加速する。見えない、聞こえない、『クリーン』で再生、環境に耐えられず炭化、再生、炭化、再生、炭化、再生炭化サイセイタンカさいせいたんか・・・・・。


死なない為に『クリーン』を続けることでしかできることがなかった。


リアナの叫ぶ声が聞こえるが意識を向けることができない。体の内側から茹るような炙られるような朽ちるような、何かが削れていく感覚を覚える。しかし、損失するような感覚は起こらない。


なんだ?一瞬見えた視界が傾く。バランスがとりにくい。たぶんだが、右腕が消えたのだろう。追撃により吹き飛ばされ炭化が早まる中、『クリーン』が発動して、状態を回復させる。


攻撃に移るどころか回避も儘ならない状況だ。攻撃されるたびに炭化する体を『クリーン』で再生させ耐えることしかできない。再生させること以外に意識を向けている暇がない。


それにこの状況ではジリ貧だ。いくら循環させて身体を強化できるとしてもこうも『クリーン』を多用しては魔力は減っていく。循環はあくまで自身で完結するからできる技術であり魔法現象として魔力を消費してしまっては戻ってくることはない。


リアナは僕の十倍の魔力を持っているからまだ大丈夫だと思うが僕の方は時間の問題だろう。この蹂躙される状況をどうにかしなければ一矢報いることもできない。




また吹き飛ばされる。追撃を避けるために空歩を使い吹き飛ぶ軌道を無理矢理変える。辛うじて避けたが熱量は依然上昇し続けている。身体が炭化する速度は早まるばかりだ。


「まだ攻撃して来ないのか?」


イフリートが話しかけてくるがこっちに会話する余裕はないし口を開ければ口内の炭化が始まるので話せない。


「なぜ魔法を使っている?」


は?魔法を使わないとこんな理不尽な状況どうにもならないだろうが。


「ぐぼぉ」


(セイ!)


容赦ねぇ~。右下腹部をゴッソリ持っていかれた。すぐさま『クリーン』を発動するが連撃に対処することができない。体の至る所が抉られ、その度に再生を繰り返す。


どうにか意地で炎の拳による連撃の嵐から抜け出たが狙いすましたように放たれた蹴りによりまた吹き飛ばされる。


「そんなに魔法が必要なのか?」


さっきから何言ってんだあいつは。魔法がなかったらこんな異常空間に居ることすらできないだろうが。


「貴様はこの試練の間に何を学んだのだ」


イフリートの攻撃が止んだ。今は此方を観察するように話しかけてくる。


「ここまで我々の同朋に認められてきた貴様はその切欠を掴んでいるはずだ」


・・・・・。


「今一度、よく考えてみたまえ」


イフリートの攻撃はさらに激しく、熱量は上昇し続ける。


蹂躙劇はまだ続く。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




イフリートは何を求めているんだ?僕は何か見落としているのだろうか?僕は何ができていないんだ?僕はこれまでどうやって乗り越えてきたんだ?何をどうして認められてきたんだ?というか・・・。




魔法ってなんだ?




イフリートは魔法を使っていることを疑問視していた。僕が魔法を使っていることが不思議な様子だった。ここが糸口なはずなのだ。僕は何を見落としているだ?




魔法とは魔力を消費して起こる超常現象だ。魔力を操作しイメージを持って想像の現象を現実化させる。簡単に表すと短い文章で済む現象だ。しかし、僕が覚えた初級魔法である生活魔法一つとってもその実現は難しい。より明確なイメージと最適な魔力操作を行えなければ現象は起こらない。


僕は教科書通りに訓練を進めることで魔法を習得した。あの内容は今思い返してみれば意識、無意識の両面からイメージを明確にさせる訓練だったように思う。無意識領域に刻み込む訓練内容は洗脳に近いものだった。




では、僕がこの試練を乗り越えるために行ってきたことは何か。それは、魔力の操作技術の向上だ。


自身が扱うことのできる魔力を完全に掌握することを行ってきた。無駄な現象を一切起こさない完璧な操作性を目指して追い込み続けた。


体内の魔力を循環させ身体を強化、補強する魔力強化。『ヒール』を切欠に装甲の様に身体を魔力で覆い強化、補強する魔力強化。この二つは内面か外面かで表現を分けているだけで厳密には一つの強化方法だ。


魔力を循環させ強化し、僕にとって明確なイメージのある『ヒール』の魔法を使うことで段階的に内面と外面の両方の面で身体を強化する。


僕は只只管に魔力強化を行ってきた。


結果はあの異常な環境に耐えることができるようになった。身体能力が飛躍的に上昇し戦闘を続けることができるようになった。イフリートとの戦闘で曲がりなりにも生き残ることが出来ているのも成果と言っていいだろう。




では、変化は何があったか。一番大きいのは僕の体質を理解したこと。


異世界のステータスに適応することに特化した体質、血筋、血脈。これにより異世界の不死者の能力に適応することができた。


しかし、これに関してはまだ未熟な部分が多い。適応した能力も僕にどれだけ影響を与えているのかわからないし適応した能力を駆使したことで数々の試練を乗り越えてきたわけではないはずだ。


他の変化としては・・・・・この世界本来のステータスを認識したことだろうか?


リアナに話だけは聞いていた裏ステータスというものを実際に見ることができるようになった。何が影響して見ることができるようになったのかはわからない。レベルを上げ切ってから、変化のすることのなくなったステータスを、見ることがなかったのでどのタイミングで変化が起こっていたのか知らないからだ。


そこで魂装を獲得していることを知ったがその能力はとても地味なもの。『53枚のカード』は簡単に言えばトランプだ。僕が念じるだけで手元に現れる不思議なトランプ。その能力は『チェンジ』とあまり変わらない。それぞれのカードに装備を登録することができ、瞬時にその装備にカードを変化させることができるというもの。


一度登録すると何度でも出し入れすることができるのは便利だがそれはいままで『チェンジ』で行ってきたことだ。それに登録した装備は登録時の装備の耐久度に依存するため破損や消失すればまた登録し直さなければならない。これが耐久力無限、壊れることがないということであれば重宝した能力だったのだがそうはならなかったのだ。


トランプ自体は無限だが53枚以上に同時に出すことはできないし投擲物としてもここの異常環境の生物に対しては無意味だった。


スキルはいくつか習得していたがこの裏ステータスのスキルは劇的に強くなるものではない。あくまで才能の後付けであるため相応の努力をしなければ僕の血肉とはなりえない。


隠れた才能を知ることができたという意味でしかなかったのだ。


裏ステータスに関しては総じて現状を打開する事柄ではないだろう。




僕がこの試練の間に新規で獲得したと思われるものはこれらだけだ。適応した能力に関してはまだまだ成長の余地はありそうだが、今この状況を打開するものとはならないだろう。




炭化と再生のスパンが短くなり痛覚が馬鹿になりながらも努めて無視をする。精神疲労が酷いのか意識に陰りが見え始めるが、考えることを辞めれば何も変わらないことはわかっている。




なんだ?本当に何なんだ?魔法を使っていることが可笑しい?魔法の使い方が違うのか?でも、僕が使える魔法は生活魔法だけだ。他の魔法はどう足掻いても使うことができなかったのだ。


くっそが!フロアの温度が上がり過ぎて強制的に体が炭化する。ボロボロと崩れる四肢を視界の端に入れながら最低限回避行動ができるように『クリーン』を続ける。


そもそも、イフリートも魔法を使っているじゃねぇか!!フロアの温度が上がり続ける異常な現象は魔法以外の何物でもない。何が魔法を使っていないだ。


これまでも主との戦いもイフリートと大きく変わらない。異常な環境に耐えて耐えて、耐え抜いて小さな糸口から攻撃をブチ当てて認めさせてきたのだ。


『重力』に体を慣れさせ、


『植物』が高速成長を続ける中を搔い潜り、


『災害』の続く異常環境を見極め続け、


『遅い』を跳ね除け、


『早い』を更なる速さで上回り、


『水』に対応を求められ、


『音色』から精神を強く保ち、


『情報』を理解し、


『凍る』に、、、『凍る』に、、、


(リアナ 僕たちは『凍る』にどうやって対処したっけ?)


(・・・・・現象を一時的に相殺させた、、、はず)


(相殺・・・)


現象を魔法を割り込ませ無理矢理相殺を図って一撃を加えたのだ。


その一撃は物理攻撃だったはずだ。白銀に覆われた大狼に蹴りをブチ当てて一撃としたのだ。その際、強制的に『凍る』現象に対応するためにリアナには召喚魔法を飽和させるように発動してもらった。


(飽和、、、各環境ではそれぞれの異常現象を『圧しつけ』られた)


(・・・ん 環境の異常性は高濃度の魔力によるもの)


((魔法とは現象の押し付け合い))


極限の状況の中、僕とリアナの見解は一致を示した。


これまでの異常環境の様に魔法現象を『圧しつける』。再度確認するが魔法とは魔力操作と想像力に依存している。であれば、僕たちが『圧しつける』現象は僕たちが有利になる現象。


(リアナ、任せた)


(ん、わかった)


魔法技術はリアナにすべて任せ、僕はイフリートの蹂躙劇を耐えることに集中する。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




私はセイに任された魔法現象の圧しつけについて考える。


セイは何度も炭化する体を引きずりながら戦い続けている。セイの苦しむ姿を私は見たくない。数秒でも早く実現させなければならない。




これまでの試練の環境はそれぞれ特徴的な環境だった。『重力』『植物』『災害』『遅延』『加速』『深海』『音色』『情報』『氷雪』最後に『火炎』。


その環境に生息する生物はそれぞれの属性に偏った能力を有していた。


重力の孤島では超重力の鉱石の体を重力を操作することで動かしていた。


樹海の大陸では植物が異常進化を遂げて襲い掛かってきた。


嵐の大陸では自然災害の属性、雷、風、溶岩、などに特化した体質の生物が生息していた。


遅延の浮島では闇の精霊。加速の浮島では光の精霊。海底世界では水生生物。天空世界は音色の精霊。亜空次元では情報の精霊。氷炎の大陸では、氷の生物、炎の生物と一つの属性に特化した生物がほとんどだった。




生物にとって魔法現象の圧しつけとは、、、


(自身にとって最も得意な魔法)


私にとって最も得意な魔法現象は『召喚』だ。この場にない現象を違う場所から呼び寄せる。決まった現象はなく自身に必要な現象を引き寄せる。対応力は他の魔法に引けを取らない。


しかし、精霊の様に魔力の質から特化していない為、同じ分野の魔法現象を起こせば力負けすることになる。この場で炎と対となる水や氷の現象を引き起こしても更なる炎の現象で食い破られるだろ。単なる力のごり押しで負けることになる。


(もっと直接的に考えるべき)


魔法は魔力操作とイメージに依存している。魔力操作はこれまでのことで完璧に掌握した。実際、イフリートと比べても負けているように感じない。残るはイメージだ。私が圧しつけるべき魔法現象のイメージとは何か?


(別に何か形にしなければならない訳ではない)


飽和によって引き起った一時的な相殺。


(私の得意な魔法は召喚魔法)


もっと単純な現象で飽和を引き起こせばいい。


それにセイの生活魔法とも無関係な訳ではないから、、、


(・・・ん、できた いくよ)


リアナは魔法を発動する。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




リアナの一言の後、フロア全てを魔法陣が埋め尽くした。何か魔法現象を引き寄せる魔法陣ではなく、ただ高濃度の魔力を留まらせるためだけの複雑怪奇な図形と文字の羅列。


帯の様に文字列が飛び交い、様々な図形が壁や魔法陣、図形同士で反射して空間を漂っている。


(ん、正常 セイの魔力も『ウォーター』で全て乗せて)


(りょーかい)


身体強化に回していた魔力をリアナが発動した召喚魔法に上乗せさせる。


(え? 魔力が減らない?)


(そう、この空間を私たちの魔力で埋め尽くした 循環させればまた体に戻ってくる)


内面と外面の魔力強化の延長線上、僕の周囲の空間も巻き込んで魔力循環を行うことで魔力を消費することなく動くことができた。


急激に上昇を続けていた熱量も止まり、炭化の現象が止まる。




「ほう、掴んだか!」


イフリートの悪魔顔の口元が三日月に裂け凶悪な笑顔を形作る。


「そうだ 本来、魔法は必要のない現象だ」


イフリートはここにきて初めて僕に対して構えをとる。


「魔法が相殺された後に残るは何か、、、」


これまで以上に緊張感が高まり、汗が目に入ることで片目を閉じてしまった一瞬の隙で眼前にまで迫られてしまった。


「ごく単純な物理による闘争だ」




吹き飛ばされる。


目で追えないほどの攻撃速度ではない。僕は視認できているし対応しようと体も動き始めていた。


だが、追いつかない。


動き始めたときには拳が被弾している。ならば、予測して、先読みして体を動かしても何でもないかのように簡単に覆される。


目が追いつき、体も反応し、これまでの様に一撃で重傷をおうこともない。数値上のステータス、魔力循環による強化率、無駄のない魔力操作も僕たちはイフリートに追いついている、並び立てていることをこの少ない交戦の間に実感できた。


だが、イフリートの領域に踏み入れるにはまだ足りない。


「経験の差 か、、、」


それはごく単純な費やしてきた年月の違い。修行の年月、戦闘経験、場数の違い、一つの技術に費やした年月の違いだ。圧倒的な経験の違いから身体能力が同等にも関わらず、圧倒されている。


今までの各環境の主たちは全力など出していなかったのだ。すべての主が最後には人型となって会話することができた。今のイフリートが戦っている姿を見るに人型での戦闘こそが全力を出すことができる姿なのだろう。


僕の拳は掠りもしない、僕の棒術は空を切る、僕の蹴り技は、、、


「む」


初めてイフリートが回避を見せた。


掠りもせず何も起きないが戦闘が始まってから初めてイフリートが回避行動を見せた。


(僕の攻撃がすべて通用しない訳ではない?)


(ん、蹴技は鋭かった 修行の成果?)


一朝一夕でイフリートに追いつく技術があるわけがない。僕は凡人だ。戦闘の中で激的に成長するなんてことは起こらない。


脚技が通用したのは、、、


(蹴り姫か!)


不死者から適応した能力。

体術 Ⅹ

体術 LV:--

魔力体

逃げ足

蹴り姫

ステップ

運勢

加護

記憶力

情報理解

詳細確認

ゲームキャラクター


曲がりなりにも回避が間に合うことがあるのは体術やステップ、逃げ足などに適応できているからだろう。不死者から適応した能力は不明なものがほとんどだが、僅かでも僕の血肉となっているのだろう。イフリートとという格上とのぎりぎりの戦闘の中で初めて実感することができた。


僕に劇的な変化は起こらない。『真似る』で相手をよく観察し、少しでも追いつけるように今まで習得した技術を総動員して相対するしかない。




傍から見た二人の戦いはひどく地味なことだろう。どちらの攻撃も環境を変化させることはなく、大地が罅割れ、空間が振動し、衝撃波が辺りに拡散するような無駄な現象を一切起こさない。


完璧な魔力操作による闘争においてエフェクトを撒き散らし、対象以外に影響を及ぼす攻撃は無駄以外のなにものでもない。


相対する両者が完全に己が力をものにしているのであれば観戦する絵面としては酷く地味な闘争に映るのだ。


攻撃同士のぶつかり合う音さえしない。肉の打ち合うような重い音が響くのみ。


セイは身軽さと多彩な攻撃手段を駆使して食らい付く。対してイフリートは一つ一つの攻撃に丁寧に対応し全てを上回る技量を持って圧倒してくる。


複雑怪奇な模様や文字列、様々な炎が空間を支配する中、イフリートとセイの戦いは攻撃を加速させながら続いていく。


時間が経つにつれ見えてくるのは彼我の実力差。セイだけが傷ついていく。徐々にだが確実に敗北が近づいてくる。


未だにセイはイフリートに一撃も有効打を与えられていない。戦闘が加速されるにつれ受け身にならざる終えないからだ。




弱者が強者に喰らいつくには方法など限られている。


計略をもって相手を自身の思い通りに動かして決定した結末に持っていくか、、、


相手の予想を上回る奇策をてらうか、、、弱者の持てる手札としては及第点ではなかろうか?




(無駄に消耗するより一撃にかけるほうが夢がある)


(同感 このままだとジリ貧)


((あとは任せた!!))




牽制するように分かり易い回し蹴りを叩き込む。イフリートも理解したのか凶悪に口角を上げながら乗ってきた。


僕は蹴り上げた左足をそのまま地におろし、下段払いをひとつのルーティンとする。


イフリートは、こんな隙だらけの行動をワクワクする子供のように見送る。


イフリートが地に足をついたときに僕は右足を踏み込んだ。


「ハァアァァアアア!!」


中段前突き


裂孔の気合と共に自身の全力を込めた最後の攻撃を繰り出す。


僕の全力のその技に落胆の表情を見せて紙一重の回避からカウンターに移行するが、イフリートはそこで目を見開くことになる。


完全に見切った中らないはずの僕の拳が命中したからだ。


イフリートの見切りは見誤っていない。僕の視線、筋肉の動き、思考、全てを読み解き完璧に拳の到達する地点を読み切っていた。


だが、現実は命中している。


「なぜ、、、貴女か!」


セイの攻撃は完全に読まれていた。しかし、ここに新たな要素が加わればイフリートの予想を超えることができる。


(ナイス、リアナ)


(ん、ここから)


リアナがセイの軸足である左足、左足の指を操作し、イフリートの想定よりも僅かに前進したことで拳が届く結果となった。


残るは文字道理全力を叩き込むのみ。


ルーティンで練り上げた全魔力、それでもまだ足りないと生命力も練り上げ右の拳の一点に二人分、、、いや、ビーちゃんも合わせて三人分集約させる。


突きの型は幾度となく繰り返した基本中の基本の型。全てのエネルギーを余すことなくイフリートに叩き込んだ。


ーーーーーッ!?!


音はない。だが、結果はある。


ゴp ごほぉぁ


イフリートは血まみれになり吐血を繰り返す。僕は意識が朦朧としていく中、イフリートを見続けたが最後に見た表情は壮絶な姿ながらも満面の笑みを浮かべていた。


くっそ、、、


全力を振り絞った僕とのリアナの意識は沈んでいく。




======================================




タンタンタンッタンッ




空間を満たす文字列、幾何学模様、魔法陣が霧散し洞窟内を彩っていた様々な炎も鎮火した。残り火のように残火が照らすのは、倒れ伏すセイとリアナ二人の姿と、血を流し続けるイフリートの三人目に加え、さらに三人人影が映る。


軽快な銃声音は新たに表れた三人の一人が放った音だ。四つの射線はイフリートと倒れ伏すセイとリアナ、セイの腰に収まっているビーちゃんへと伸びる。


「エリアス様、ありがとうございます」


「最後のはいいのをもらったなイフリート」


「ハッ 最後まで手札を隠しているとは思いもよりませんでした 私もまだまだです」


「まぁ、お疲れさん 修行もほどほどにな?」


エリアスはイフリートに労いの言葉を送り、視線を背後のライムへと向ける。


「んで、こんな感じで良かったのか?」


「うんうん 完璧ね これにて私からの試練 ライムの試練達成よ!!」


ライムは満面の笑みでこれまでの結果を総評する。


「迷宮でステータスの土台を作り上げ、今回の各環境で位階を最大値まで上昇させる 目的は完璧に成し遂げてくれたわ 初めて、エリアスが関わらない英霊の誕生よ!」


「リアナには少し関わったが、セイは確かにそうだな んー間接的に関わっている気がするが、、、まぁいっか」


エリアスとしては引っかからない部分がないこともないが気にしないことにするらしい。


「これからの予定は何かあるのか?」


「んー 特にないわね 私がお膳立てできるのはここまでよ これから進む道は見通せないわ」


「なるほどねぇ~」


イフリートと同様に回復させた、セイ達を見つめながらこれまでの経緯を思い返している。


「そういえば、どれぐらいこの試練に挑戦してたんだっけ?」


「だいたい、5000年ぐらいね リアナはその二倍は過ぎていると思うわ」


「思っていたよりも時間はかからなかったな 一億ぐらいかかると予想してたんだが、、、」


「エリアスが生まれた初期と比べれば、今の時代は成長しやすいのよ 他世界の理を取り込んだステータスは結構優秀よ?」


「崩壊と再建を繰り返してきた人類文明は無駄ではなかったってことか、、、」


自身のスキル習得の努力は何だったのかといいたくなるエリアスである。


エリアスが感情の整理をしていると三人目が会話に参加する。


「あとは、俺が元の時代に届ければ終了か?」


「だな 裕椰、後は任せるわ」


「りょーかい 時渡は俺の得意分野だからな パパっとおわらせますかねぇ」


不死者が一人、白玖裕椰(ハクユウヤ)はセイとリアナを回収し、セイ達が元居た時間軸へと姿を消した。


「二人はこれから何をなすのかねぇ~」


「とても楽しみだわ!」


「うし、帰るぞーイフリート」


「ハッ!」


残った三者は雑談をしながら元の場所へと帰っていった。




======================================




二章終了時ステータス

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セイ・ヴォフク --才

レベル:99

種族:人間(固定)

職業:遊び人 99

スキル

【斬る】【突く】【打つ】【流す】【中てる】

【隠す】【無属性】【真似る】

魔法

生活魔法

【クリーン】【ヒール】【ウォーム】【クール】【ドライ】

【ウォーター】【チェンジ】


精霊の靴

 素材強化 合成強化

 バフ

  強化 ステルス性

  精霊の歩幅 瞬撃


テイム

 エナジースライム<ビーちゃん>

契約

 英霊〈アドリアナ・ヴォフク〉


(各種能力値がグラフとして表記されている)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セイ・ヴォフク

種族:人間

レベル:--

HP:99999/99999

MP:9999/9999

攻撃:999

魔力:999

防御:999

精神:999

速さ:999

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ステータス【裏】       

種族:人間(固定)         

位階:Ⅹ

魂装:53枚のカード     

HP:99999/99999         

MP:99999/99999          

攻撃:9999             

魔力:9999             

防御:9999             

精神:9999                

速さ:9999             


スキル                  

再生Ⅹ  10000

分解Ⅹ  10000

魔眼Ⅹ   10000

強化Ⅹ   10000

振動操作Ⅹ 10000

魔力操作Ⅹ 10000

召喚術Ⅹ  10000

収納空間Ⅹ 10000

悪食Ⅹ   10000

格闘術Ⅹ  10000 

転移Ⅹ   120

<特殊技能>(適応技能)

体術 Ⅹ      

体術 LV:--     

魔力体       

逃げ足     

蹴り姫       

ステップ     

運勢       

加護      

記憶力     

情報理解      

詳細確認    

ゲームキャラクター 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アドリアナ・ヴォフク ‐‐才

レベル:99

種族:人間

職業:冥土99

スキル

【真似る】【家事】【御奉仕】

魔法

【生活魔法】

【契約】


【英霊召喚の魔法陣】

・所縁のある物を媒介に英霊を召喚する。

・必要な事は所縁のある物を所持していることのみ。

(その他各種ステータスのグラフ表記)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アドリアナ・ヴォフク

種族:人間

レベル:--

HP:9999/9999

MP:99999/99999

攻撃:999

魔力:999

防御:999

精神:999

速さ:999

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ステータス(裏)

種族:人間

位階:Ⅹ

魂装:冥土の嗜み

HP:99999/99999

MP:99999/99999

攻撃:9999

魔力:9999

防御:9999

精神:9999

速さ:9999

スキル

魔力操作Ⅹ10000

召喚魔法Ⅹ10000

苦痛耐性Ⅹ10000

冥土Ⅹ10000

メイド技能(33スキル)Ⅹ10000

(掃除 洗濯 料理 家事 不眠 不休 休息 自己治癒 自動回復 回復魔法 並列思考 思考加速 記憶 器用 分身 情報共有 情報精査 念話 念動力 空間魔法 転移 亜空庫 算術 空間把握 地図 五感操作 読唇術 鍵開け 芸術 音楽 真似 房中術)

生産技能(18スキル)Ⅹ10000

(裁縫 鍛冶 細工 彫金 調薬 調合 錬金 建築 設計 製造 農業 水産業 使役 契約 生産 複製 効率化 自動化)

生活魔法(7スキル)Ⅹ10000

(再生 分解 魔眼 強化 振動操作 召喚術 収納空間)

戦闘技能(27スキル)Ⅹ10000

(格闘術 武道 柔術 棒術 剣術 槍術 斧術 盾術 弓術 銃術 暗器術 投擲術 操糸術 模倣 偽装 隠蔽 隠遁 隠密 観察 見切り 体術 歩行術 脚技 捕縛術 軽業 二刀流 曲芸)

箱庭(15スキル)Ⅹ10000

(固有空間 亜空間 箱庭 土魔法 風魔法 水魔法 火魔法 雷魔法 樹魔術 大海魔術 大気魔術 大地魔術 時空魔法 時空魔術 創造)

繰り返し(4スキル)Ⅹ10000

(セーブ ロード ループ リセット)

適応力(5スキル)Ⅹ10000

(適応 順応 適合 応化 即応)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ビーちゃん

種族:エナジー・スライム

レベル:--

HP:--/--

MP:99999/99999

攻撃:0

魔力:999

防御:999(+999)

精神:999(+999)

速さ:0

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ステータス(裏)

種族:エナジー・スライム

位階:Ⅹ

魂装:水晶の煙管

HP:--/--

MP:99999/99999

攻撃:0

魔力:9999

防御:9999(+9999)

精神:9999(+9999)

速さ:0

スキル

分裂Ⅹ 10000

再生Ⅹ 10000

分解Ⅹ 10000

捕食変換Ⅹ 10000

魔力操作Ⅹ 10000

調合Ⅹ 10000

料理Ⅹ 10000

気化Ⅹ 10000

液化Ⅹ 10000

固体化Ⅹ 10000

頑強Ⅹ 10000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


獲得した精霊

土の微精霊:重力の孤島

木の微精霊:樹海の大陸

風の微精霊:嵐の大陸

闇の微精霊:遅延の浮島

光の微精霊:加速の浮島

水の微精霊:海底世界

音色の微精霊:天空世界

情報の微精霊:亜空次元

氷の微精霊:氷炎の大陸(氷の大地)

火の微精霊:氷炎の大陸(炎の大地)






============================================================================

戦闘に派手さはいらいなことを前提にすると情景が地味なものになってしまう。

でも、いらないエネルギーは使わないことが魔力操作の極致という世界なのでそこは譲れない。

でもでも、、、と永遠と切りがありませんでした。


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