第4話 一人目と死闘
「とりあえず、ずっとこんなところにいるのも何ですから、まずはパステリトゥムに戻りましょうか」
そう言って、エールはカインの手を引く。
「ああ。こうなっては異世界勇者との全面戦争は
「そうですね」
エールがどこからともなく
すると、太陽と半月を
「……
「あ、はい。神界が乗っ取られて、使える力も弱まってしまって……」
エールがまた
「まあ、俺はこっちの方が好感が持てるがな」
二人は穴を
__その転移先は大広間であり、まず十メートルの高さはある
詰まるところは魔王カインの
「俺の
エールはふふんと鼻を鳴らし、静かに胸を張った。
「さて、まずはヒトを呼ぼう。__来い」
カインがパチンと指を鳴らす。しかし何も起こらなかった。
カインがパチンと指を鳴らす。しかし何も起こらなかった。
エールは困惑している。
「……えっと、カインさん?」
カインはこの事態に強い疑問を覚えた。魔王を
「
__そのとき、
「ここにいた魔物達なら、もう全員やっちゃいましたよ」
若い男の声。人間
「誰だ」
影はゆっくりと歩みを進め、足元から
「どうも、田中キョウマです。しがない勇者やってます」
その
「あなた達二人のことはずっと『見えて』いました。面倒な事をされても困るので、先手を打たせてもらったってわけです」
「……!!そんな!あの領域まで……!」
何も知らされていないカインは、キョウマと呼ばれる少年の
「俺達を殺しに来たということか」
「察しが良くて助かります。でも、できれば
__次の
それより早く剣を
「カインさん!」
遠くでエールが
カインはその呼び
「仮に仲直りしたところで、俺達が生き残る保証は無いよな?」
「……察しが良過ぎるのも困りものですね」
勇者キョウマは、魔王の背後から魔法を
__まずい!
魔王のどこかで
「エール!急げ!早く!」
勇者キョウマの
「__
__そこより五十メートルほど下の地面。カインとエールは
「けほっ、けほっ!カインさん、ありがとうございます……!」
「
「すみません、私の
「もう良い」
カインはエールを抱きかかえたまま、勇者キョウマの死角に隠れた。エールは自分の体勢にようやく気付き、
勇者キョウマは自分の作り上げた
「奴のことは知っているか?」
「……いいえ、私が呼び寄せた転生者じゃありません。ですが、あの魔法力……恐らくステータスが強化されているものと思われます」
「なるほどな」
魔王は影から勇者を
「……全ての能力値が9999。馬鹿げているな。エールよりも高いぞ」
エールは苦笑いをするしかなかった。それを与えたのは自分達神々なのだから、自業自得である。もっとも、巻き込まれたカインにとってはたまったものじゃないが。
「しかも、奴は俺達の動きが『見えて』いるらしいな。ここもすぐ
エールは『その』言葉に反応を示した。
「いえ、それはありません。今まで『千里眼』のスキルを与えたのは私だけ、それもたった一人です。つまり彼の能力じゃありません」
……また疑問が増えた。
「後で説明しろ」
「は、はい」
「……とは言え、このステータス差ははっきり言ってまともに太刀打ちできない。正攻法は通用しないだろうな」
「そんな、何か手立ては……」
おろおろと戸惑うエールを尻目に、カインは考えを
__その時、少し離れた所から楽しげな声が聞こえる。
「そこにいるのは分かってますよ!早く出て来ないと、ここら辺一帯が全部消し炭になっちゃうかもなー!」
「ひい!」
エールは
このポンコツめ……。
とカインは心の中で毒づくが、後の祭りである。仕方がないので
「
エールは
__しかし、こんな状況でもカインは
「……とにかく今は時間を
「え?」
返事を待つことなく、魔王カインは勇者の前に
彼女は
時間があれば打開できる。彼女の
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