第3話 かたみ

Q1.少女は誰で、

Q2.少女はなぜ私の隣にいるのか。


 何事も端的に。keep it simpleの原則を守ると、情報の伝達は効率的になる。優れた発信者は混沌とした事象から、より抽象化された、より普遍的な、より、本質的な情報を抽出する。


 ”考える葦”で有名なパスカルはある日、少し長い手紙を友人に書いたそうだ。


 そしてその最後には、”時間がないから長い手紙になった、申し訳ない。”と書かれていた。


 なるほど。パスカルにとって、手紙は時間をかけて短くするものだったようだ。そして、長すぎて、本質が見えない文章は謝罪に値するのだ。


 私は優れた発信者ではない。


 だから、端的な物言いをしても、普遍的で、本質的な事柄を示すことは難しい。


 それでも、やってみよう。最初の問いの答えを。


Q1.少女は誰か。

A1.友人の子供。

それがいま私の隣にいる少女だ。


Q2.少女はなぜ私の隣にいるのか。

A2.友人が死んだから。

それが少女が私の隣にいる理由だ。


Qx.私のことを先生と呼ぶ少女に、私は責務を果たせるか?

Ax.わからない。

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