第2話  帰宅

「ただいま〜」「ただいま。」

俺の家の玄関を開けて、息子と一緒に入った。

「今日も遅くまで待っててくれて、偉かったな〜」

「うん!」

「どれ、それじゃ、晩ごはん食べようか。」

「うん!!」

息子は幼稚園が終わるのは、だいたい午後3時くらい。そして俺の仕事が終わるのが夜6時ころ。その間、お隣さんの奥さんが預かっててくれている。たまたまその子供も、同じ幼稚園なので、一緒に帰ってきて、俺の帰りを待っててくれている。

その奥さんの手作り惣菜を、ご厚意で時々頂いてくるので、本当にご飯は助かっている。

「今日はウィンナーとほうれん草か。美味しそうだな。」

「うわ〜。」

うちの息子も、珍しく好き嫌いがないのだ。人参もピーマンもちゃんと食べてくれている。料理の仕方なのだろうか、俺がフライパンでちゃちゃっと野菜炒めしている姿を、すぐ脇でじーっと見ているのだ。そういうときに出した料理は、味付けが失敗していないときはいつも全部食べてくれる。

今日は隣の奥さんの手作り惣菜と、俺の簡単野菜炒め、それに白米とスライス玉ねぎの味噌汁。

用意が20分という、簡単夕ごはん。

ご飯をよそって席について、

「いっただっきまーす」



俺は、この息子の食べてる姿を見てるのが、一番好きだ。


まだ5歳だけど、ついこの前産まれたばかりだけど、


だんだん凛々しくなって、食べる量も多くなってきて、


いつのまにか体重も16kgになってて、重いって感じて、


「おかわり」

「…おっ、お?おう。おーし、いっぱい食べろ。」

もうおかずも半分無くなっている。俺もすこし食べておこう。



食べ終わって、テーブルのすぐ横で、おもちゃを振り回して走り回ってる。

俺は食器の片付けで台所に立つが、そうだ、メールとかなんかあるかな。

幼稚園の連絡網は、メーリングリストで一斉送信なのだが、時々個別のメールが入っていることもある。

あ、渡辺先生からのメールが入ってた。

来月にある遠足の案内メールだった。

遠足といっても、歩いて30分くらいの、少し離れたところにある、いつも行ってる公園なのだが、そこでスケッチも行うという。

クレヨンとスケッチブックの用意と、遠足なのでおやつも持っていくということだ。

そして、そのメールの終わりに、だいたいいつも書いているのだが、

『先輩とまた会える日を。』

という一文を残している。

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