第2章『一夜物語』


「対象を現時刻フタフタマルマルを持って、必要であれば射殺を許可する。速やかに沈黙を測れ。」

「了解。」

僕達が一般校へ行くことが許されたのはいくつかの条件があったからだ。

その条件は2つ

1つ目は、

『学園生活内で基礎能力を使用してはならない』

基礎能力とは、大半の人間が自らに初めから備わっている能力のことを指す。

使い道として、魔法と組み合わせて使用することもある。

陽は周囲の音を一斉カウントし、何秒後に何が起こるのかを予知できる能力、

『カウンタージ』と言うものだ。

柊馬は『ターンベクトル』

これは文字通り相手のベクトルを操作する。

例えば自分に敵対する者のベクトルを書き換え、攻撃対象を自分から敵対種へ操作することもできる。

なぜこれらの能力を使用してはならないのか。

それは2人の能力が神聖級能力だからだ。

神聖級能力とは、神にも匹敵する程の力とされており、世界でたった5人のみがその能力を所持している。

これにより全世界の過激派や研究機関が所有、研究を強く望んでいる。

そして2つ目の条件は

『対魔法魔導部隊チェクメイトへの正式入隊』

対魔法魔導部隊チェクメイトとは、この島で起こる魔法、魔導関連の事件事故の取り締まりを行う部隊で、通称『チェック』と呼ばれている。

と言うのもこの人工島では、魔法を使用するライセンスを所持していれば誰でも魔法を使うことができる。

ただライセンスを発行するためには2年間魔法学校への入学と発動訓練。1年間の仮ライセンス期間で1度も違反行為を起こさないことが絶対条件とされており、それをクリアしたものがライセンスを取得できる。

だが、ライセンスを取得してもその後の違反行為を3度以上した場合はライセンス剥奪ということになる。


「柊馬くん、1時の方向に対象の仲間と思われる人影を発見。」

柊馬の能力は離れていても、視認出来ればターンベクトルを使うことが出来る。

「りょーかい!あいつに対象へ誘導してもらおうかぁ!」

敵兵にボスを殺すよう変換した場合、ボスの元へ向かう傾向があり、それを利用するのが

2人の作戦だ。

柊馬は手際よく相手にターンベクトルを使い、対象を無力化することが出来た。だが2人は殺さずに、拘束するのを選んだ。

「未佐原、富ヶ谷、よくやってくれた。

後は我々が受けもおう。」

この人は対魔法魔導部隊チェックメイトの

部隊隊長で名前は関根登美一。

この部隊で唯一陽と柊馬の正体を知っており、2人が実験されていた研究所の元社員。

「では失礼します。関根隊長。」

こうして今日の夜間活動を終えた2人はファストフード店へ向かい、こんな話をしていた。

「なぁ陽、学校でどの能力を基礎能力として公表することにしたんだ?」

なぜ2人が能力を2つ以上持っているのかは予想してみてほしい。

「僕はスーパーヘッドにしようと思う」

スーパーヘッドとは記憶力が強化される能力で、0歳から全ての記憶を覚えてる者もいる。

「お!スーパーヘッドか〜。俺はスピーダーにしようと思ってる!」

スピーダーとは足の速度が通常の人よりも早く、最大で100kmを記録した者もいる。

この能力は基礎能力としてはマイナーな能力だ。

どちらともレベルにすると2ぐらいだ。

なぜ今基礎能力の話をしているのか、それは明日、学校で基礎能力の発表があるからだ。

基礎能力は自然に目覚めるものではなく、

エリア中などの魔法科学校では基礎能力を人の手で呼び起こし、使用用途や組み合わせ

などを学ぶ授業がある。


そして明日、エリア中で事件が起こる。

陽と柊馬を狙ったものなのか?!



第3章をお楽しみに!











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