第5話

サンドバッグは打ちのめされて何も言えない。


僕は勉強机から手を引いた。


森の中に家を建てている爺さんが、口煩くて仕方がない。

「この木はなぁ、長い年月をここで過ごしているんだ。なぜ自然の中で過ごすって、俺も自然になりたいからなんだよ。分かるか?

全く分からないが、僕は話を聞くだけだ。


「自然はそのものなんだよ。ありのまま、ただそのまま存在しているんだ。

生まれたその時からの状態を勝手に維持しているってことじゃない。変わらない内面があるってことが自然ってことだ。これは個性とも言える。誰かに言われて変えられる部分と変えられない部分がある。個性は変えられるもんじゃない。お前だって変わらないものにかちがあると思っていたいだろう?だから、俺は自然になりたいんだ。」


訳の分からないことを言っているから僕は

遠くの街に出かけることにした。


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