第2話

死にたいとか、生きたいのためにできることを考えている。

僕はまた日記を書く。


彼はどこかの並木道で、空を見上げている。

彼女はどこかの誰かとセックスしているだろう。


「人生における方向性って何だと思う?」

「そうですね。まず何が好きかじゃないでしょうか?

僕は自分自身を大好きになった方がいいと思います。」

「つまり?」

「自分自身で人生をつくるんですよ。だから意思決定が重要でそれ自身が僕の行く先になるんです。」

「自分を好きになるためには?」

「生まれた時から好きなんで、分かんないですね。だから自分を傷つけようとする奴は殺す気で接してきましたよ。自分を愛しているから、当たり前ですよね。誰かを愛したときにも僕は同じことをします。」

「質問には端的に答えなさい。

では、....」


彼のような人間にあったことがある。

品があって端正な顔の素晴らしい人間だった。

まぁ、それとは全く違う人間になったし、もう空の上にいるけど。


「私、誰かに愛されれば、それでいいかもしれない。方向性なんて分かんないけど、愛されるために努力したいかな。」

「努力とは?」

「ダイエットとか、メイクとか、美容とか?

でも今はやって当たり前になっちゃってる。」

「貴方を愛してくれる人間の前提条件は?」

「話ができて、顔も良くて、お金があって、人望がある人かな。背も高い方がいいな。

でも、愛情が私の心に伝わってくるかどうかが一番大事かも。

いま言ってて思ったけど、私は私を一番愛したいかも。」


彼女はとても賢い。

自覚を言葉によって成し遂げた。

正しさなんて知ったことではない。

彼女が今どうしているか僕にはわからない。

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