第2話 ロボット
「本日は、
その男性はスポットライトを浴びて、それはもう
2050年の現在、家庭用ロボットが普及され、一家に1台は必ずロボットが導入されている。
r.Bは家庭用ロボットを販売しているメーカーの中でも業界ナンバーワンを誇る会社だ。数年前に設立されたばかりだが、今ではどの家庭にも必ず1台は『
なぜぽっと出の会社がここまで急速に成長したのか。
それは数年前に『
rB制度は、高齢者や一人暮らしの孤独死を防ぐために定められたものだ。人間の体温や行動を感知するセンサーが組み込まれたロボットを開発し、各家庭に少なくとも1台は設置するよう義務付けられた。
r.Bはその感知センサーを装備したロボットをいち早く開発し販売したため、ニュースで取り上げられ知名度が爆発的に上がったのだ。また品質も大変良かったため、そのまま業界のトップメーカーとして有名になった。
ちなみに伊久の家には、r.Bのシルバーロゴが真ん中に入った小さなお掃除ロボットがある。最近調子が悪いようで、今朝もガシャガシャと変な音を出しながら家の中を掃除していた。そろそろ煙でも出るんじゃないかと少し心配している。
ステージを見ると最初に壇上にいた男性はもう居なくなっていた。恰幅のいい男性たちが次々とステージに上がり同じような挨拶をして降りていく。
退屈だな。母も兄もきっとそうだろう。
隣を見ると母は案の定寝ていた。しかも母が学生時代に編み出したという"目を開けたまま睡眠"をしている。正直、姿勢も他の参加者の誰よりもシャンとしていて綺麗だ。逆にそれが不自然で寝ているとわかるが…。
反対隣を見てみると、意外にも真剣に話を聞いている兄がいた。
「兄ちゃんこれ聞いて理解できるの?」
機械音痴の兄は機械の説明書を読もうとするだけですぐ寝てしまうような人だ。そんな兄がこの話を集中して聞けるとはとても思えなかった。
しかも今はr.B会社の設立や業界のトップに上り詰めるまでの過程などについての話をしている。
正直つまらない。周囲を見渡すと母以外の参加者もチラホラ寝ているような状況だ。
「このくらい理解できるよ。もう高校生だし。伊久もちゃんと静かに聞いときな?」
…まさか兄にこんなことを言われるなんて。
そういえば、パーティーだとはしゃぐ母ばかりに気を取られて気づかなかったが、招待状が届いた日あたりからどうも兄の様子がおかしい気がする。
わかった、ごめん。と兄に小声で伝え、寝ている母を肘でつつき起こした。
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