第11話 SF

 高強度の光が降り注ぐ。

 何の因果か、ここにも太陽と遜色ないひとつの恒星が頭上に輝いていた。

 我々人類が受け続けてきたその核融合の恩恵を、私は、はじめて煩わしい思いで見上げた。

 

 名も知れぬ異星に不時着してもう七日目。

 目の前の大地には果てしない砂漠が広がる。

 船員は息絶えた。

 残っていたのは私とこの相棒だけだった。


 相棒は優秀なやつだった

 こちらの内面を的確に読み取り、何事も、瞬時に対応してくれる。

 私の気分が乗らないときは、音楽なども聞かせてくれた。

 それは私を高揚させ、落ち着かせ、時に、涙させた。

 相棒は本当に優秀なやつだった。

 

 船内には相当な食料が残されていた。

 今日を生きていくのに必要な分を相棒の前にもきっちりと置く。


「なあ、俺たち、いつまでもつかな?」


 いつもは愛想のいいはずの相棒も、このときばかりは何も言わなかった。

 私は仕方なく、カラカラに乾いたパンを引きちぎり、口のなかにそいつを放り込む。

 咀嚼する度に吸い取られていく唾液。

 荒廃の味がした。

 生き抜こうとする気力までが奪われていくような気がした。

 

 そんななかで聞こえてくる。

 相棒の歌声ことば

 それは希望だった。

 希望というものをこれほどまで適切に表していたものがあるということ。

 私はそれまで知らなかった。

 眠りに落ちるその瞬間まで、それは胸の奥に深く、そして鮮明に響き渡っていた。

 

 相棒は今日も歌う。

 ノイズを含んだ味のある歌声。

 相変わらず、体調ぞうふくきが良くないみたいだな、相棒よ。

 不時着してすでに二年が経とうとしていた。

 

 

 

 ――有機質と無機質のエンタングルメント?

 このジャンルのことがよくわかりません。

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