#3―①
どうして
そもそも、どうしてクレハと
周りを見回しても、わからないことだらけ。
(なんて言ってもしょうがないし、少しずつ情報収集をしていけばいいか)
ひとしきり混乱した呉葉だが、結局割り切って生活しようと決めるまで、そう時間はかからなかった。これでも適応力はそこそこある方だと
ただ、この
(いつ本物のクレハちゃんが
とりあえず、
(テオバルトお兄さん……仲がいいとは言ってたけど、こんなに
なお、例のおじいさん
「あのー、テオお兄さま? お医者様の見立てどおりわたくしとっても元気ですし、外の空気を吸いたいのです。そろそろ
「いや、そう言って外に出て風に
「……はい」
本を読みたいと言えば「夢中になって
(そのうち『呼吸する時は気管に空気を
ならばテオバルトの目を
(メイドさんたちとも最小限の話しかできないし。これじゃ情報収集しようがない……)
心配してくれているところ、
正直、呉葉はげっそりした。「意図的に外界から
(テオバルトお兄さんに、中身の入れ替わりを
ただベッドの上でヤキモキするばかりで、なんの
三日経った。
◇◆◇
そんなこんなで、フラストレーションを限界近くまで
今日も今日とて、テオバルトは呉葉のベッドのそばに置いた
(これはまた一日ベッドに
──と、呉葉が内心で
不意にテオバルトは暗い
そして呉葉の手をぎゅっと
「クレハ、ひとつ
「え」
「いちおう僕も官職を
「……は、はい」
ということは。
「テオお兄さまは、……ひょっとしてひょっとしなくても、今日はずーっとお留守でいらっしゃるのですか?」
「そういうことになるな。ああ、そう心配せずともいい。夕刻には戻るし、ジイーンや使用人たちが控えてくれているから、
「はい」
「他に言うことはなかったか、ええと……そうだ、できるだけ呼吸はゆっくり
首を力なく
「お構いなく、テオお兄さま! わたくしのことなど
すべて国民は勤労の権利を有し義務を
(何よりも……お兄さんがいないなら、外に出る絶好のチャンスってことよ)
喜びが思いっきり顔に出てしまっていたらしい。
「なんだ? 少しの間とはいえ、僕と
ニコニコと
テオバルトがしぶしぶメイベル
彼女らは
なんとなく
そうして着付けてもらったのは、足首まである若草色のワンピースドレスだ。綿素材で
(
仕事でもパンツスタイルが基本だった呉葉は、慣れない
そういえば過去、女子力の高い友人に「呉葉っちは高身長イエベだしぃ、ビビッド暖色系のマキシ
(今はクレハちゃんの美少女ビジュアルだから半魚人化は
念のため、もう少し
「ええと。ゆっくりしたいので、声をかけるまでは一人にしてくださいますか?」
着替えや
(さて)
(晴れて自由時間を得たとはいえ。万が一にもテオバルトお兄さんに心配かけちゃ悪いし。夕方までには戻ってこなくっちゃね)
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