快適な暮らし?
ルリが
私にできることと言えば、歌って
鼻歌を歌うと
大々的に変わったことは、夜中に新緑の
私は月の神のルルーチャフ様が使わした聖女らしいから、月の出ている夜に祈るのだ。
ここで歌ったり踊ったりすると、目に見えて神殿の周りの緑化が進んでしまうから、祈るだけにしている。
祈ると言っても『ここ最近こんなことがありました』みたいな報告をしているだけだが、何だか温かな気持ちになり、空気が
お祈りの後は、たまにダーシャン様がお酒を持ってきてくれる。
その代わりに、私は飲みながらダーシャン様の
「何で兄はそんなに王太子に
「そのやることは、元々お兄さんはできてたの?」
「……」
できてなかったんだな〜っと思いながら、赤ワインのようなお酒をちびちびと飲んでいく。
「周りが
お酒を飲むと
「『できない』って言ったことありますか?」
「軽々しく口に出していい言葉ではない」
「それでできちゃうから、
私もそうだった。
「無理だ、できないと思っても口に出すことが負けたような気になって言えないし、実際達成できたら
ダーシャン様は同意するように激しく
「でも、
私も会社をリストラされた時、何人かの
あの時の私は、
「言わなきゃ伝わらないことがたくさんあるんですよ。それにダーシャン様に頼られたら
私は
「ダーシャン様は良く頑張っています」
私が頭を撫でたことが
「セイランは本当、聖女だな」
最初のダーシャン様の声はとても小さくて聞き取れなかった。
「頭を撫でられたことなんてほとんどなかったから、何か照れるな」
気を取り直したように明るく返された言葉に、私の方が照れてしまいそうになる。
「頭を撫でられるとストレスを軽減させることができるって何かの本で読んだことあるので、撫でてほしくなったらいつでも言ってください。私ができることなんて他にあんまりないですから」
ダーシャン様は苦笑いをした。
「
別に頭を撫でるぐらいいつでもするのに。
私は少し残念に思いながら、ダーシャン様との
◆◇◆
私との晩酌の後、ダーシャン様は少し変わったらしい。
難しいことを自分で
「何でも一人でやるなんて無理な話ですから、ダーシャン様がいい方に変わられて少し安心しました」
しみじみとお茶を
「ムーレット導師は、
「仕事もしていますよ。ただ、若い導師達は私がウロウロしていると
ちゃんと仕事をしているなら、毎日のようにお茶を飲みにくるぐらいいいのか?
私は少し
それに、ムーレット導師は別に遊びにだけ来ているわけではない。
たぶん。
私に国の歴史を教えたり、聖女の話をしてくれる。
決して世間話ではない。
きちんと教えてくれているのだ。
たぶん……きっと……確信はない。
「前回の聖女様は国王の母親、ダーシャン殿下のお
いや、その後どうやったら結婚まで行くの?
私がクッキーを食べながら話の続きを聞いていると、外が
「
ムーレット導師がふーっとため息をついた。
「セイラン、いるか?」
どうやらダーシャン様がやって来たようだ。
外に出ると、
向こうからはこちらが見えていないようで、キョロキョロしている。
「はーい。いますよ」
私は
「ああ、良かった。留守だったらとは考えずに来てしまったからいなければどうしようかと思った」
顔面
「ところで私に何か用がありましたか?」
私が聞けばダーシャン様は手に持っていた
「セイランのおかげで、仕事を人に任せようと思えるようになった。ありがとう」
何とも眩しい笑顔のままダーシャン様は私の頭を撫でようとした。
勿論全力で
ウィッグがズレたら大変だからだ。
あからさまに私が避けたせいでダーシャン様がシュンとしてしまったが、仕方がない。
「不用意に
「あ〜こっちこそすみません。頭を触られるのが苦手で」
申し訳ないと思いながら謝れば、ダーシャン様は
「人には苦手なこともあるさ」
私がもう一度謝ろうとした時、後ろから声をかけられた。
ムーレット導師だ。
「ダーシャン様、少し人に仕事を任せるようになったとはいえ、お
この人、人のこと言えないだろうに。
私が
「導師もお忙しいのでは?」
「私はちゃんと
ブラック
「えっ? 仕事を部下に全振りしてるんですか? クソ上司なんですか? 二度と家に来ないでくれませんか?」
「べ、別に仕事を弟子に全て押しつけているわけではありませんよ!」
「仕事抱え込む上司も大変ですけど、仕事しない上司を持つと下は死にたくなるぐらい大変なんですよ。理解できます?」
その場にいたムーレット導師とダーシャン様はその時の私の
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