森の危険とは (ダーシャン目線)
俺は真っ黒な犬を追いかけていた。
昨日、この辺には
「ダーシャン様、
「ラグナス、前に出れるか?」
青い
「ダーシャン様がそうしろと言うなら!」
そう言ったのと同時にラグナスは加速して黒い犬の前に回り込む。
一発で仕留める。
そう思った
黒い犬だと思っていた犬の右耳が水色だということに気づいてしまったからだ。
俺が
「ダーシャン様!」
ラグナスが近くに
「お前、ルリか?」
俺の言葉に嚙みつく力が少し弱まる。
やっぱり、コイツはセイランの
嚙みつかれた腕を
「ダーシャン様?」
「
俺は森の奥を見つめて言った。
「くそ、ラグナス。登るぞ」
「はあ?」
説明している
もがくルリを何とか小脇に抱えて走る。
大丈夫だ。
セイランならどうにかしてくれる。
ヒメカ聖女は結局、
彼女にルリを浄化してほしいと言っても、ナルーラにルリを殺される危険性の方が高い。
俺は腕から血が
そして、どうにかセイランの住む、森の開けた場所にたどり着いた。
だが、
水の
絶望しかけた自分の耳にセイランの声がした。
見れば何もない空間から一人の少女が現れた。
「ダーシャン様!」
駆け寄る少女はセイランではなかった。
先日、ラグナスと親しそうに話をしていたピンクの髪の少女だ。
「ルルハちゃん?」
俺の後ろでラグナスの
「セイランを呼んでくれ。ルリを助けたいんだ!!」
俺の腕に抱えられ口を押さえられてもがくルリを見て、彼女は目を見開いた。
俺は彼女を知っている気がした。
見た目は
何を考えているんだと思う俺を
すると、撫でていた頭から
そして、彼女は俺の腕を手にとると
見る見るうちに傷が治っていく。
「セイランなのか?」
こんな神力が使えるなんて、セイランだと言ってるようなものだ。
「バレちゃいますよね」
えへへと言いながら頭を
「ルルハちゃんが何で?」
信じられないものを見たと言わんばかりのラグナスに、セイランは苦笑いを
「ルルハちゃんが、聖女ってことですか? 団長」
俺に聞かれても。
「え〜と、説明するので、とりあえず中に」
彼女が案内した場所に入ると、目の前に小屋が現れた。
「結界の
そう言いながらセイランはルリの頭を撫でて小屋に入って行った。
俺とラグナスはゆっくりと彼女の後を追った。
「お茶でいいですか?」
「いや、お茶ではなく……」
見ればムーレット導師がお茶を飲んでくつろいでいた。
「導師は何故ここに?」
ムーレット導師はフーっと息を吐き出した。
「今日は城にヒメカ聖女様がいないので、街でセイラン聖女とデートでもしようかと思ってたのですが……」
ムーレット導師は更にため息をついた。
俺の横でルリがグルグルと
「セイランに
明らかに見た目の違うセイランをチラッと見るとムーレット導師は首を横に
「セイラン聖女は自身で姿を変えることができるようですね。まあ、私は
「これはコスプレですよ。街では私だと気づかれないようにこの格好をしているんです」
「こすぷれとは?」
俺が聞けば、セイランはニッコリと笑った。
「コスプレとは、自分ではない……この世界にアニメはないから、……そう、動く絵本の中に出てくる登場人物になりきる
どんどん勢いをなくすセイランの声に、ラグナスが口を挟んだ。
「それは、観劇の役者のようなものってこと?」
「そう! さすが騎士様!」
「じゃあ、ルルハちゃんの本当の名前がセイランちゃんってこと?」
その言葉にセイランは目をパチパチと
「
「そんなことより、どうしてルリが真っ黒になってしまったのか、ムーレット導師は分かりますか?」
セイランはルリの顔をワシャワシャと撫で
「そうですね。絶対とは言いませんが、たぶんセイラン聖女のためにこの辺にいる魔獣を
セイランが首を
「今は結界を張ったので大丈夫ですが、魔獣や魔物と呼ばれる存在がこの辺にいないわけではないので、ルリが近づく魔獣や魔物を倒しているうちに、
ルリはセイランから視線を
「ルリは私を守ってくれてたんだね」
セイランは
嬉しそうに
そんな気持ちを深く
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