河童の肉

鮭さん

第1話

 河原でみんなでバーベキューをしているぜ。


 親戚の集まりだ。颯爽と肉を焼いているのはたかとおじさんだ。


「おい坊主!この肉は何の肉か知ってっか?」


 え、なんだろう。


「牛、ですか?」


「この肉はなあ、『河童』の肉なんだ。」


 おじさんは誇らしげに言いました。


 でも河童の肉なんてどこで手に入れるんだろう。河童なんているのか?


「おじさん。カッパの肉って、どこから入手できるんですか?」


「ああ、河童の肉はな。牛から手に入るんじゃ。」


 それじゃあ、それは牛の肉なんじゃないか?どういうこった?どういうこった?


「それは牛の肉だろ。」


 わたしはキレて、突っ込みました。だって、それは牛の肉じゃないか。


「なんだと?」


 おじさんは、イラッとしたようです。表情が険しいです。


「子供だからって馬鹿にしやがって...。何様のつもりだ!!」


「ああ??あんたこそその口の聞き方、何様のつもりだーっ!!子供だからって舐めてんのかー!!」


 パーンッ!!


 おじさんの拳が頬を殴った!!火蓋が切られたのだ。


「こっ!!このやろおっ!!やりやがったなっ!!」


 パーンッ!!


 パーンッ!!


 パーンッ!!


 パーンッ!!


「なんだあ?喧嘩かあ?」


「おい!!喧嘩だ!!喧嘩だぞ!!」


「どっちも頑張れー!!」


 親族が集まってきます。みんな争いが好きなんです。男として、負けるわけにはいかないんです。


「いけー!!いけー!!」


「おせー!!おせー!!」


 ギャラリーも盛り上がります。ヒートアップしていく私たち.......。


 おじさんは、死にました。


 顔がパンパンになって惨めに河原に転がっています。私のせいです。


「うーうー、たかとが死んじまったぞ。」


「なんてこった!!ああ、お前は悪くない。悪くなんかないぞたかし。」


「仕方ない。仕方のないことだったんじゃ.....。さあ、食べよう。」


「うぅ、悲しいが食べよう。」


 食べよう?そう言うと親戚たちはおじさんの遺体に群がっていきます。これはいったいどう言うことだ。むむむむむ、むむむむ...なんだなんだ.....おじさんの頭に....河童の皿みたいなものが浮き出ているZO.これはまさか。おじさんが河童だったのか。そんなことを考えているうちにおじさんは棒にくくりつけられて丸焼きにされてしまっています。


「あの、おじさんは河童なのですか?」


「ああ、知らなかったのか。あいつは河童だ。」


「へえ、そうだったんですか...。」


 よく見ると、既に肩のあたりが削れています。まさか....。


「もしかして、河童の肉っておじさんの肉だったのですか?」


「そうじゃ。あいつはバーベキューのたびに自分の肉を提供していたんだ。気を遣わせたくなかったんだろう。河童の肉は牛から取れるなんて適当なことを言ってはぐらかしたんだ。」


 え、そうだったのか....。俺に気を遣って....。それなのに俺は......。おじさんの思いも知らずにブチ切れてあんな口を聞いてしまった....。でも....でも、最初にこの肉はなんだって聞いてきたのおじさんだったじゃないか....。そんなこと質問しなけりゃよかったのに....。なんなんだ。どうして....どうしてあんなこと聞いたんだ..........謎DA☆


 完

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河童の肉 鮭さん @sakesan

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