第80話 峡谷

翌日、魔族の調査を諦めて峡谷に魔物討伐にやってきた。


ここの魔物は四神の下位互換が多いらしい。




万全を期して進んでいると、早速”レーダー”の下の方に反応があった。


”鑑定”してみると、ブラッドタイガーAという魔物だった。




「白虎、こいつらを倒していいか?」




「はい。確かに我と同じ種だが関係ないのでな。」




「そうか。分かった。」




ブラッドタイガーは狡猾ですばしっこいのが特徴だという。


確かに何かを企んでいるような面構えをしている。




『見え透いた罠にかかるか!』




俺はブラッドタイガーに罠へと誘導される前に海王の槍で攻撃した。


だが、”槍B”なのでなかなか攻撃が当たらない。




『くっ…!このすばしっこさを何とかしたいな…』




ブラッドタイガーは俺の攻撃が当たらないと知るや否や攻撃に身を転じてきた。


俺のことを完全に格下だと思っているようだ。




『面倒くさいな。…そうか!』




俺はブラッドタイガーの足を氷属性魔法で凍らせ、動けなくなったところを槍スキルで倒した。




『二度手間だがスキルの熟練度上げをするには仕方ないか…』




”鑑定&略奪”をしてみると、”敏捷F”というスキルを習得した。


効果はウルフから奪える”俊敏”と同じだった。




『同時に行使したら相当の速さになりそうだな…』




そんなことを思っていると、また”レーダー”に反応があった。


今度は上からだ。




『急に現れたのか!?』




”鑑定”してみると、キラーバードAという魔物だった。




「朱雀。」




「はい。倒していただいて構いませんよ。何も関わりが無いので。」




「ありがとう。」




上空にいるので俺は海王の弓を構えて攻撃したが、”弓C”なのでなかなか当たらない。


キラーバードは隙を見ては急降下して鋭い嘴で攻撃してくる。




『戦闘が進まないな…これも魔法を使うか。』




結界魔法”絶対不可侵結界”でキラーバードの動きを止め、弓で射抜いた。


”鑑定&略奪”をすると、”貫通F”というスキルを習得した。




『”貫通”って…あの嘴を無防備な状態で直撃してたら貫通してたのか…』




効果は文字通り貫通力を高めるようで、槍スキルや弓スキルで有用そうだ。




「青龍の下位互換も倒していいのか?」




「構わないがここには生息していないぞ?」




「なんて魔物だ?」




「水竜Aだ。」




「あいつか。それならもう倒したからいいか。」




「玄武のは?」




「…構わない。生息地は1つ向こうの峡谷だ。」




「ありがとう。」




早速そこに向かうと、”レーダー”に3種類の魔物の反応があった。


スパイクタートルBとヘビースネークB、タートルサーペントAという魔物だ。




「玄武、お前の下位互換はどれだ?」




「…全部だ。」




「全部!?どういう…そうか!」




玄武は亀と蛇が合わさった容貌をしているのだ。


おそらくスパイクタートルとヘビースネークが合体し進化してタートルサーペントになるのだろう。




『同時に相手に回すのは厄介だな…1体づつ行くか。』




まずはスパイクタートルと戦うため、他の魔物は結界で囲った。


こいつは甲羅が非常に尖っており、装備なしに突進を食らったらただでは済まなさそうだ。




『なっ…!?えっ…!?』




突然スパイクタートルが頭と尻尾をしまって回転しだしたのだ。


回転量が増えると、こっちに向かってきた。




『…っ!』




俺は急いで結界を展開し、身を守った。




『危なかった…まさかそんな攻撃方法だとは思わなかった…』




回転が収まり、顔を出したところを遠距離から弓スキルで倒した。


”鑑定&略奪”をしてみると、”角質化F”というスキルを習得した。




『これは…なんだ?』




試しに行使してみると、皮膚が甲羅のように固くなった。




『これはサンドクラブから奪える”硬質化”と同時に行使したら結構の防御力を得られそうだな。』




ヘビースネークと戦うため結界を解除すると、麻痺毒を吐いてきた。




『なっ…10mは離れてるぞ!?』




俺は難なくかわしたが、毒が当たった地面はジュワジュワと音を立てて溶けている。


おそらく毒に当たったら全身が麻痺するだけではなく皮膚がドロドロに溶けるだろう。


そう考えると俺はぞっとした。




『当たってないとはいえデバフ耐性があって良かった…』




防御力はないので弓スキルで倒し、”鑑定&略奪”をしてみると”麻痺毒生成F”というスキルを習得した。


これは体のどこからでも生成して放出できるようだ。




『機会があるかはわからないが暗器に使えそうだな。』




最後にタートルサーペントを結界から解き放つと、体に異常が発生した。




『くっ…!?体が…重い…!?』




そんなことを思っていると尾の部分にいる蛇が麻痺毒を吐き出し、本体が激しく回りだした。


”鑑定”してみると、体の重さは”重力操作”というスキルの効果だったようだ。




バフのおかげで筋力が上昇しているので簡単に耐えられ、槍スキルで倒した。




『まさに初見殺しだな…』




”鑑定&略奪”をして”重力操作F”を習得した。




『大収穫だ!!』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る