第29話 ギルマスとの会談

ヘンリーが受付で職員と話し終え、こちらへ戻ってきた。




「ダグラス、ギルマスへの報告についてきてもらってもいいか?」




「わかった。」




「ありがとう。」




ギルマスの部屋に着いた。




「”陽炎の辻”所属Bランク冒険者のヘンリーです。ダンジョンのことで報告があり来ました。」




「入れ。」




「失礼します。」




「お前がダグラスか。」




「初めまして。Eランク冒険者のダグラスです。」




「俺は王都のギルマスをしているゲイルだ。それで、何があった?」




「はい。昇格試験で…」




ヘンリーが事細かに説明した。




「そんなことがあったのか…もう戻っていいぞ。あ、ダグラスは残れ。」




「失礼しました。」




ヘンリーが退出した。




「ダグラス、お前が単独でコボルドをキング倒したんだな?」




「はい。間違いありません。」




「そうか。エリザから聞いていた通りだ…面倒なことをしてくれたな…」




「面倒とは…?」




「実力は確かだから特例でランクを上げる必要があるんだ…」




「そうなんですね…あの、質問いいですか?」




「なんだ?」




「俺は地道にゆっくりとランクを上げたいので他の報酬にできませんか?」




「報酬の中身によるな…何がいい?」




「そうですね…お金といい装備でしょうか。」




「そうか。分かった!では金貨300枚とBランク装備一式でどうだ?」




「Aランク装備で。じゃないと安すぎませんか?」




「…分かった。では報酬は金貨300枚とAランク装備一式だ。


装備は複数取り寄せておくからその中から選んでくれ。」




「分かりました。ありがとうございます。」




「用意に時間がかかるから5日後にギルドに顔を出してくれ。」




「分かりました。もう一ついいですか?」




「なんだ?」




俺はこっそり回収したコボルドキングの魔石をバックから取り出すようにして”アイテムボックス”から取り出した。


両手剣Bもドロップしたが、使う機会があるかもしれないので一応保管しておいた。




「コボルドキングの魔石です。受付で出すと騒がしくなりそうなので。」




「そうだった。ありがとう。魔石Aだから金貨50枚だ。これも5日後にまとめてでいいか?」




「はい。ありがとうございます。」




「あ、忘れてた。昇格試験は合格だ。今日からDランク冒険者だ。」




「ありがとうございます!では失礼します。」




もう日が暮れてきたので俺は金貨350枚という大金をもらえることにうきうきしながら熊の子亭に帰った。




「あ、おかえりダグラス!」




「ただいまメーア。」




「昇格試験どうだった?」




「ああ、無事合格したよ!」




「おめでとう!!」




「ありがとう。メーアが昼食でサービスしてくれたからだよ。」




「そうかなぁ…えへへ…」




その後夕食と水浴びを終え、自室に戻った。




『あの程度の魔物で”危険察知”スキルがかすかとはいえ鳴るなんて…


もっと強くならなければヴァーリ領に来た魔人にも勝てない。』




俺は明日からの計画で悩んでいた。




ダンジョンで力試しをしたいとは思うが、たくさん倒しすぎるとまた今日のような事態が起きてしまうため魔物スキルの上達は難しい。


今は力試しよりも力をつけることが優先だ。




王都の外は街道を除き森林が広がっており、全体的に魔物のランクも高い。


なので、俺はヴァーリ領の時と同じように野外フィールドで活動することにした。




「明日からは倒した魔物が素材として売れるから解体しなきゃな…ってん?


そういえばヴァーリ領で活動してた時のゴブリンの死体”アイテムボックス”に入れっぱなしだ…」




俺は急いで”解体S”スキルを習得した。(SP57660→56665 -995)


すべてのゴブリンの死体を”解体”すると、4980個もの魔石Eが出てきた。




しかも、”解体”し終えて不要な方 (死体)は消えていた。




『勝手に消えてくれるのは便利だな…でもどこに消えてるんだ?…まあいいか。』




ホラー展開になる予感がしたので考えるのをやめた。




『ってか多いな…これ受付に出したら面倒くさそうだから今度報酬もらうときにギルマスに言うか…』




今日、”魔力探知”ではコボルドキングを見つけられなかった。


おそらくが魔力がない個体だったのか、スキルで隠していたのだろう。


反省を生かして”気配察知S”を習得した。(SP56665→55670 -995)




翌朝、俺は朝食を終えて早速フィールドに向かうことにした。




「ダグラス、これ。」




「あ、昨日頼んでおいた携帯食か。ありがとう。」




「うん!気を付けていってきてね。」




「ああ。」




熊の子亭の事前に頼んでおけば昼食を携帯食として翌朝渡してくれるシステムは冒険者にとってありがたい。




王都の門を抜けて森林に入り、”気配察知”をすると、コボルドの群れがいた。




『数は30体ほどで上位固体はコボルドナイトBが二体か。


コボルドウォーリアーDやコボルドファイターCまでいるのか。なかなかの大所帯だな…』




そんなことを考えながら俺は片手剣スキルで全体倒した。


本来なら魔法で一発なのだが、使えないということで通っているので仕方ない。




すべての死体を”アイテムボックスに入れ”解体”をすると魔石E×35、魔石D×8、魔石C×5、魔石B×2を何個か獲得した。


また、コボルドが装備していたものもすべて獲得した。




『またギルマスにお世話になるなぁ…』

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