第22話 戦の始まり
翌朝、俺は訓練を終え昼食をとってすぐ家を出ようとすると、
「ダグラス!どこへ行くんだ?危ないから家にいなさい!」
と父さんに止められた。
「ごめんなさい…父さんの役に立ちたくてまた情報収集しようと思って…」
「そうか…ありがとうな。参考になるから頼んでもいいかな?」
「分かった!」
「でもくれぐれも気を付けるんだよ?」
「うん!」
俺は一度ギルドに寄り、中に入ると人が全然いなかった。
「あの、どうしてこんなに人が少ないんですか?」
「あ、ダグラス君。今日はこの後領主様の屋敷で集会があるからそれで。」
「そうなんですね。ありがとうございます。」
「あ、待って!危ないから森林には入っちゃいけないからね!」
「はい。ありがとうございます。」
父さんは働きすぎだと思うが大丈夫だろうか。
負担を減らすためにもアンデッドを間引きに”瞬間移動”した。
すると、昨日減らしたはずのアンデッド軍が増えていた。
しかもそこそこ強い魔力の持ち主が3体現れた。
『なっ…!!あのヴァンパイア夜のうちに”アンデッド生成”をしてたのか…
あと”眷属化”のスキルか…まあいい、もう一度数を減らすまでだ!!』
俺は怒涛の勢いで”エリアヒール”を行使していき、B、Cランク層を殲滅した。
すると、眷属がこっちに飛んできた。
『まずい!”転移”!!』
危なかった。
あと少し遅ければ俺の姿がばれていただろう。
MPを25000ほど消費したので” 錬金”スキルの訓練の時に作ったMP回復ポーションを飲みまくった。
『うぅ…おいしくない…』
なんとか忍耐スキルのおかげて耐えきり、MPが全快した。
もう一度森林に戻って間引きたいが、あのヴァンパイアが待ち構えているかもしれないのでちょっと離れたところに転移した。
『くそ!また増えてるじゃないか!』
今度はEランク層を殲滅していると、また眷属が飛んできた。
『まずい!けど逃げてもこの繰り返しになるか。眷属くらいならいけるか…?』
『鑑定』
名前 なし 種族 魔族(ヴァンパイア眷属) 性別 男 Lv.84 EXP 2430
装備
黒鉄一式 槍
ステータス
HP 45300/45300 MP 64800/64800 TP 57300/57300
スキル
・魔法
水属性魔法C 闇属性魔法B
・武技
槍B 体術B
俺のステータスの方が上回っている。
『空中戦闘は慣れていないが…よし、倒すか!』
そう考え俺は姿がばれないように”偽装”スキルで自分を青年に変えた。
また、すべてのバフをかけた。
「お前かぁぁぁぁ!!!昨日も今日も主様が生成したアンデッドを殺しまくってる野郎は!!!」
「…だとしたらなんだ?」
「ぶっ潰す!!!」
眷属は槍スキルで次々攻撃してくるが、俺は落ち着いて盾で防御した。
「どうした?守るので精一杯か?ざまあないな!クハハハハ!」
今だ!
俺は片手剣Bスキル”レイドジェノス”を行使し、相手の足を切り落とした。
「あ”あ”あ”あ”あ”!!!よくも俺の足を!」
魔族の攻撃が早く、力強くなったが、それでも師匠の攻撃より弱い。
的確にいなし、今度は片手剣Aスキル”デッドリーブレイク”を行使した。
七連撃を直撃させると、眷属は細切れになった。
『えっ…!?今ので死んだ…?思ったより弱かったな。』
そう思っていると、今度は他の男と女の眷属2人が来た。
”鑑定”をしてみると、さっきの奴よりは強いが大して変わらなかった。
「あいつは俺たち3人の中でも最弱だ。あいつのようにはいかないぞ?」
「あなたを殺してその血肉を食ってやるわ!」
「やれるものならやってみろ。」
「そんなに死にたいか。じゃあとっとと逝かせてやるわ!」
そう言って女眷属が細剣スキルで攻撃してきた。
男眷属の方は魔法師のようで、杖を構えている。
俺は細剣スキルを盾で防ぎつつ男眷属に光属性魔法B”ハイヒール”を行使した。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
男眷属は苦しみはしたがさすがに死ななかった。
もう一度”ハイヒール”を重ね掛けすると、今度は死んだ。
「よくも!!!」
女眷属の細剣スキルがより激しくなったが、隙だらけになった。
片手剣Aスキル”デッドリーブレイク”を行使し、深手を与えた。
「くそ...こんな奴に…」
「なああんた。お前の主様とやらは何をしようとしているんだ?」
「答えるか!」
「なに、興味があるんだ。俺と同じ目標だったら手を貸そうかと思ってな。」
「そうか…では教えてやる。主様は人間の街を落とし、そこで人間の繁殖場を作ろうとしているのだ!
人間の血は美味い。だから鶏や豚お同じように家畜にするのさ!」
「…もういい。消えろ。」
片手剣Bスキル”レイドジェノス”を行使し、心臓を貫いた。
『眷属は大したことなかったな。ヴァンパイアはそんな下種なことを考えていたのか。』
俺は憤り、日が暮れてきたので最後に一発消費MP30倍の”ハイヒール”を食らわせた。
軍の2/3は殲滅できただろう。
偽装を解いて家の近くに”転移”すると、屋敷の中庭に大勢の人が集まっていた。
そこにはギルドの顔見知りもいた。
ただのダグラスで通っているのでばれるのは避けたい。
”気配遮断”のスキルを使って家まで無事にたどり着いた。
「おかえりなさい。ダグラス。」
「ただいま母さん。父さんは忙しそうだね。」
「そうね。おそらく明日には戦いが始まるでしょうから…テュールとノンナも無事であって欲しいわ…」
そうか、テュール兄さんとノンナ姉さんはそれぞれ騎士団と魔法騎士団に所属しているから戦いに参加するのか。
「そうだね…無事に終わるといいんだけど…」
その後入浴と食事を終え、MP回復ポーションを飲みまくった。
やっぱり味には慣れない。
眷属との戦いよりこっちの方がきつかった。
翌日の早朝、俺は強い魔力の波動で目を覚ました。
見に行くとアンデッド軍がすぐそこまで迫っており、そしてヴァンパイアがスケルトンキングを配下に加えていた。
そしてヴァーリ領の軍がそれを待ち構えていた。
「全軍進め!!!奴らをヴァーリ領の外壁の中に入れさせるな!!!」
こちらが攻撃を仕掛け、戦が始まった。
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