あきが、きます

村上 耽美

金木犀の匂い、君に贈る手紙

秋が来た時、それは今ですね、今、十月四日、この時期は、秋ですよね、今日は君に、僕の、今の気持ちを贈ろうと思います。金木犀が二度咲くことがあると、今日知りました、公民館の、金木犀の香りを、そのまま、ペンのインクにして、セピアの便箋に、散らせたい、僕達も、そんな季節を迎えたのですね、僕はこの秋に、この言葉に、君へ、飽きをのせようと、今、このまだ、葉が紅くもならない、十月に、贈りたくて、書きました、この手紙が、君に届くのか、それはいつなのか、分かることはないでしょう、僕が、秋の紅葉より先に堕ちるのか、君がこの、言葉を読んで、顔を赤くして憤るのか、どっちが早いのか、僕にはね、生憎検討がつかない、まァ、そんなことは、どうだっていいんだ、僕は、今君に、それだけ、言いたかったんだ、僕はこれから、昔、君が死にたかった時だね、その時の、君が跨いだフェンスに、向かうから、君は秋の空から、見守っててくれたまえ、君の元についたら、僕の人生に、飽きがきた僕自身を、非道く引っ叩いてください。


追伸:君の世界には、秋はありますか?もしあれば、教えてください。飾り気のない黒髪は今も金木犀が飾ってありますか?

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