第286話 情熱
物置きに置いてある自転車に埃がかぶっている。いつから乗っていないのだろう。乗る時間的余裕は相変わらずないけれど、せめて整備くらいはしないと。
まずは埃を払う。
と、物置きいっぱいにもうもうと埃が舞う。いくら埃をかぶっていたからといって、こんなにも埃まみれのはずはない。が、物置きは埃で何も見えないくらいになり、咳き込んでとてもその場にはいられない。
わたしはいったん物置きから出た。
しばらくして埃も落ち着いたころだろうと物置きに戻る。
自転車は消えていた。
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