第266話 アンコール

ああ、またそこで間違えてる。


通勤の道すがら、その家からはピアノが聴こえる。お世辞にも上手いとは言えずミスタッチも多い。が、わたしはなぜか好き。


最近、ピアノの音がしないと思ったらどうやら引越しをしたようだ。表札が無くなっているのに今日気がついた。

立ち止まり、ピアノの音がしていた部屋を見上げる。さみしくなった。と、ピアノが響きだす。誰も居ない部屋から漏れ聴こえる。


一曲弾き終えるとふたたび演奏は始まることなく沈黙。


ありがとう、さようなら。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る