第264話 忖度
特に霊感が強いってわけじゃない。強くはないけれど、あるにはあるらしく極たまに霊的な何かを感じる。
一晩泊まるその旅館を見たとき、何かいるな、とは思った。何がいるのかまでは判らない。そこまで霊感は強くないから。
夜、布団にもぐると案の定、出た。足の裏がむずむずする。くすぐられているのだ。たぶん霊的な何かに。
さいわいわたしはくすぐられてもむずむずするばかりで特に笑うとか身体をよじるとか、そんな反応は起きない質(たち)だ。それに怖いわけでもないから、くすぐるそのままにさせておいた。気が済んだらやめるだろう。
だが、ちっともやめない。やめないどころか足の裏だけでなく脇腹とか脇の下とか、くすぐる場所を広げてきた。これじゃ寝られない。
結局、眠れないまま朝をむかえた。
寝てないわたしも疲れたが霊的な何かもさぞかし疲れたろう。一晩くすぐり続けて。よほど意地っ張りとみえる。
あ、反応してやればよかったのか。無反応だから意地になってたのかも。
悪いことしたなあ。
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