第67話 御守り
「おめでとうございます。当たりです」
店員さんは事務的に告げる。レジ横にある箱からひいた籤(くじ)が当たったのだ。選択肢は4つ。欲しいものが選べる。けれど、なにもほしいものがない。
「それ、もらっていいですか」
わたしが言ったことがすぐにはわからなかったらしい。店員さんは不思議そうに訊く。「これですか」
「そう、それ」
わたしは当たり籤そのものを所望したのだ。もちろんただの紙切れ。もらって財布にしまう。
当たり籤だけど何とも引き換えることはもう出来ない。そこがなんだか、いい。とってもいい。財布を開けるたび当たり籤を目にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます